2004年5月9日 第51回全日本プロ選手権自転車競技大会
競技当日。前夜はそれほど飲んでないのに、名古屋駅のホテルに泊まる頃には一気に疲れが出て、「明日は当日欠場かも・・・」という状態。30歳にもなると、疲れがたまりやすくなって、「思い通りに体が動かない〜」と嘆くシーンも多くなりました。
一晩明けて、体が相当(*´д`*)キモチイイー
というわけで、現場へ。
地区プロは3度、大阪府の記録会は1度経験がありますが、全プロは初めてです。
中部地区は朝から雨野登板(笑)な状態。
工業都市四日市のコンビナートの景色も白く雨で煙るあいにくのコンディション。
それは四日市競輪場に着いても同じで、バンクは水で浮いて、折り畳み式の傘も風で、破壊され、ただの荒ゴミになるのが心配される状況。
私が一番楽しみにしていたポイントレースは、中止になってしまいました(;´Д⊂)

今まで大阪府の記録会や、近畿の地区プロに行った時は、競輪開催中は開いていた場内売店や食堂がすべて閉まっていて、あらかじめコンビニやスーパーでお昼を調達しなければなりませんでした。
今回四日市の場内を見てびっくり。
ほとんどの売店、食堂が競輪開催時と同じように、営業しているではないですか。
おまけにホーム側の特別観覧席も自由開放。その2階にある食堂、売店も営業していました。
これは嬉しい。四日市競輪側に拍手! です。

場内ではイベントとして、4コーナー側の屋根付きのイベントスペースで、仮面ライダーショーや、伊藤克信司会の競輪クイズ、地元三味線師の演奏会を行っていました。
子供連れに人気の仮面ライダーショー 今日は主のいない予想台

現場では10人くらいの人とお会いしました。
みなさん、競技用自転車に実際に乗ってバンクを走ってらっしゃる「自力勝負」の方や、そうでない人も自転車競技の大会に、毎月のように顔を出してらっしゃる方ばかりで、私など出る幕がございません。
↑え? あんたたくさんしゃべってただろう、って?! めっそうもございません(笑)

自転車競技を経験されてらっしゃる方々に、三毛猫氏が筋肉チェック! をされると、みんなスプリンター!
ピスト競技の方はどうしても、ロード競技の方と違って、スプリント筋肉寄りになってくるのでしょうか。

今回行って、有意義だったのが、「K−CIA」の真由美さんに初めてお会いできた事。
真由美さんは、オビスポ立ち上げ時に選手などの競輪情報で、いろいろご協力いただきました方で、以前からお会いしたかったのですが、やっとこの場でかないました。やあしゃさんなど、お会いした皆さまのおかげです。

今回は、宿泊費や競輪場のレンタル代などの経費節減か、少なくてもここ20年ほどは2日間の日程で行われていた全プロ大会が、今年は1日で全競技を行うようになりました。

全ての競技を消化するために、夜の19時までの予定で行われる事に(実際はポイントレースが中止だったので18時過ぎに全競技終了)なり、開催として四日市が選ばれました。全プロでは初めてのナイター開催です。

私自身も、ナイター競輪自体は函館と川崎に各1回、合計2回行った事があるのですが、銀白色の照明灯の明かりが、バンクに映え、とてもロマンチックでした。


来年以降も、ナイターで行われる可能性は高いです。
参加選手数を考えると選手宿舎に人が入りきれない。あぶれた選手が宿泊できるホテルが必要で、近くにホテルがたくさんある所でないといけない。
となると、来年は函館や平塚、小倉が有力候補になってくるのではないか、と連携していただいた人はおっしゃられてました。

さて競技の中で印象深かった事を書きます。

(1)スプリントは井上昌巳(長崎86)選手が初優勝
一番結果の中でインパクトあったのがコレです。
「おはようハロン」こと朝の200メートルタイムトライアルで1位を取った井上選手。
準決勝では石橋慎太郎(静岡88)に1本取られて、さらに落車絡みで1本スタートがやり直しになった経緯を経ての決勝進出。
ストレートで準決勝を勝ち、決勝進出した本命金子貴志(愛知75)に比べて、疲労の上で不利は否めない、と思ったのです。

ところがスプリント独特の駆け引き合戦を経て、先行逃げ切りで1本取ると、2本目も後ろ攻めから、2コーナーで一瞬の隙を突いてインを切り込み、先行。
ダッシュ自体は千切るほどではないので、金子も付いては行けたのですが、3コーナーから差せないな、という感じになって、2センターからはむしろ差が開き始め、直線ではぶっちぎりでゴールへ。

終わってみれば、コンディションや雨走路もあったのかも知れません。
しかし1本目も井上の先行を金子が差せそうで差せなかった。上がりタイムも10秒688。
これは力差なのでは、とも思います。


スプリント決勝2本目、残り1周前。
前を走る金子選手、後ろが井上選手


ここ数年、スプリントの帝王だった金子選手を破っての優勝。
一気に井上選手が新時代を引き寄せた、そう感じさせる衝撃( ゚Д゚)ヒョエーでした。

(2)神山選手魂の走り
1000メートルタイムトライアルは、中川誠一郎(熊本85)が初優勝。2位が本命視されていた荒井隆博(佐賀82)でした。

私が印象に残ったのが、3位の神山雄一郎(栃木61)。
地区プロでもそうですが、1000メートルでは最後の半周ほどで、スピードが落ち、ゴール前はアラアラ一杯の「黄金の垂れ」(笑)状態になる事が多いです。
神山選手の今回の走りは4コーナーから見てましたが、最後まで自転車がブレず、まっすぐ1本の矢が四日市の長い直線を伸びて、遠くに見えるゴールに突き刺さった・・・、そんな感じでした。
とても綺麗な物を見させていただきました。

(3)ケイリン決勝で示した中部の結束力
バンク慣れしてるためか、ケイリンでは中部が5人決勝進出。
機動力タイプが松岡、小嶋の2車だけに、別線勝負か、連携するのか? 並びが気になりました。

決勝進出の中部は松岡、小嶋、濱口、山口幸、一丸弟の5人。1着は寛仁親王牌の初日の理事長杯に乗れます(他にも1000メートルタイムトライアル優勝者、チームスプリント優勝者3人全員、スプリント優勝者も理事長杯に乗れる)。当然、勝ち上がりが非常に有利。
この中でまだタイトルを取ってない選手は松岡、一丸。このどちらかを勝たせるのでは、と見ました。

レースは前を濱口が取り、小嶋−松岡−一丸−山口で中部勢は1つに結束。西川−合志の中部が松岡に競りかけ。香川の香川、会田は後ろを周回。

何と( ̄□ ̄;)ナント!!普段はマークの濱口がそのまま先行。
松岡は西川は捌いたものの、追い上げた合志に小嶋の番手を取られてしまいます。
前では小嶋が番手捲りで発進。追走は合志で最後の4コーナー。
追い上げたときに脚を使ったのか、直線では一杯になる合志を尻目に、小嶋がぶっちぎって優勝のゴール。。松岡が差し返し2着、合志が3着でした。

ブレて分かりにくくてすみません。
今ゴール線を通過した選手がケイリンで優勝した小嶋選手です

ケイリンでは普段マークをやっている選手が、前で引っ張る事がかなりあります。去年の近畿地区プロ(奈良)ケイリン決勝で、大井啓世(奈良58)が、三和英樹−渡辺一貴の滋賀勢を連れ、前で引っ張ったり(渡辺選手の優勝だった)、今回の全プロでも、ケイリン予選で小野俊之(大分77)が、佐々木則幸(高知79)−児玉広志(香川66)−佐々木浩三(佐賀50)を連れ、早逃げを打ったりしました。

中部から確実に優勝者を出すにはどうすればいいか?
ダービーに優勝した時に「中部でたらい回しにする」と言った濱口選手。
相変わらず結束力が高いな、と感じさせる結果でした。

1つ残念だったのは、「競輪」でなく「ケイリン」と名を打ってるにも関わらず、中身がいつもの「競輪」と変わり映えしなかった事
マークをしている選手も含め、1人1人の駆け引き、仕掛け合いがもっと見たかったです。

ではでは、最後に今回撮影した写真を紹介します
4000M団体追い抜き。今先頭交代を行っている ケイリン予選。予選ではスターターが用意できなかったのか、スターターなしで手作業で実施。こちらの方が「ケイリン」ぽいが・・・
開会式。前回大会優勝者の紹介 「松岡君が本来やるはずだったのですが・・・開会式に来てないので代理でやらしていただきます」。代理(?)で選手宣誓する萩原操(三重51)
1000メートルタイムトライアル、スタートを待つ武田豊樹(茨城88)選手(たぶん・・・) チームスプリント。優勝の関東チーム
競輪選手会の表彰式。巧みな話術で観客と同期の神山選手を笑わす山田裕仁(岐阜61) 来場者にDVDレコーダなどのプレゼントが当たる抽選会
ケイリン決勝。9番車松岡彰洋(三重69)に競りかける、4番車西川親幸(熊本57) スプリント表彰式
左から準優勝の金子貴志(愛知75)、優勝の井上昌巳(長崎86)、3位の石橋慎太郎(静岡88)
ケイリン表彰式
左から準優勝の松岡、優勝の小嶋敬二(石川74)、3位の合志正臣(熊本81)
閉会のピストルを鳴らす佐久間重光(三重41)支部長

<今回の上位結果>

1kmタイムトライアル
1位 中川誠一郎 熊本 1分4秒944
2位 荒井崇博 佐賀 1分5秒031
3位 神山雄一郎 栃木 1分5秒209
4位 矢口啓一郎 群馬 1分5秒443
スプリント
1位 井上昌己 長崎
2位 金子貴志 愛知
3位 石橋慎太郎 静岡
4位 榊枝輝文 福島
4km個人追抜き
1位 内田慶 栃木 4分43秒043
2位 佐々木孝司 青森 4分51秒670
3位 原田和明 千葉 4分53秒814
4位 中井健二 岡山 4分55秒919
ケイリン
1位 小嶋敬二 石川 2分51秒99 上がり11秒342 まくり
2位 松岡彰洋 三重     3車身
3位 合志正臣 熊本      
4位 一丸安貴 愛知      
チームスプリント
1位 関東チーム 稲村成浩、小林大介、兵藤一也 1分15秒458
2位 中部チーム 志智俊夫、加藤慎平、永井清史 1分16秒429
3位 南関東チーム 渡邉晴智、丸山啓一、新田康仁 1分17秒879
4位 四国チーム 渡部哲男、宇根秀俊、曽我部匡史 1分18秒135
ポイントレース
1位 山中猛 沖縄
2位 佐藤友和 岩手
3位 都築章二 東京
4位 増田鉄男 徳島
※悪天候のため競技中止。昨年度選手権優勝者を1位に、その他は抽選により決定。
4km団体追抜競走結果
1位 関東 吉田勇人、小沼良、白岩大助、太田耕二 4分39秒22
2位 北日本 松崎伊佐央、佐藤悦夫、青森伸也、山崎芳仁 4分39秒71
3位 四国 馬場圭一、宮本佳樹、近藤誠二、眞鍋伸也 4分43秒24
4位 中部 坂上忠克、北野武史、坂上樹大、北野大暁 4分44秒60

(「競輪らんど」より転載)


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