2001年4月29日(日)
西武園競輪前節記念第3日決勝日

 西武池袋線で30分。秋津から無料バスに乗り20分。住宅地はやがて田園風景へと変わり、坂とカーブの道の連続を過ぎると、西武園競輪場に到着する。新宿からなら西武線で35分。西武園駅を降りると、入り口は目の前だ。

 到着して施設を見る。確かに94年〜96年にかけて作られた施設は、綺麗で近代的だ。
 しかし私から見ると欠陥品。
 まず、ホームスタンドに一般席がない。以前、宇都宮に行った時、ホームにスタンドが全くなくギョッとしたが、西武園も特観席のお金を払えない人には同様の悩みがある。

 そして、両替窓口がない。発売所には、「おつりが出ないように現金をご用意ください」……。
 現実には、お釣りは用意してくれるが、気は重い。
 
 えんび色の女性の制服には好感が持てたし、無料給湯サービスも、バック裏の1箇所は、コーヒーや麦茶まで飲めるものが用意されているなど、いいことはある。もちろん、駅からすぐ行けるところも。
 しかし、スタンドの構造と両替機がない、というだけでもう取り返しがつかない。

 バンクは、500バンクから改装された、直線の短い、かつ伸びるコースのない圧倒的自力有利のもの。自分にとっては圧倒的に最悪の第一印象しかない。

 私もそれを見越して、本音はイヤだが、逃げる選手のスジと、機動力タイプ同士の車券で「勝てる」と見越して勝負したのだが……。

 帰りに観戦記を執筆するためのパソコンを入れたカバンを荷物預かり所に預け、レースに。しばらくケンで様子を見る。
 吉井−正光くんは必ず来ているはずなので、バックを中心に探し回るが、最終レースになるまで見つからず。後から、彼のページを見ると、来ていたということ。携帯番号や服の種類を教えとけば良かった……。

 
 3Rは持ち点95点の加奈川英三(滋賀41)が、最近おハコの大ギア捲りを決め、格の違いを見せつけた。タダでは転ばない男である。もっとも、逃げた小川克也は、80点しかない選手。それなら、西武園でも簡単に捲ることができるだろう。

 4Rは中野良(北海83)−須藤修(秋田44)の先行。満を持して、北村明久の捲り……と思ったら結構捲りきるのに時間がかかって、そこらへんが西武園なのかな、と思ったが、なんとか捲り切る。
 直線は西武園とは思えない大混戦。捲りきった北村に番手の高根沢幸房(栃木65)が襲いかかり、須藤も前残りを狙う。ゴールはまったく誰が勝ったのか分からず。結果、高根沢が北村をチョイ差し。3着には捲り追い込んだ奥中竜之(大阪80)が入った。最近頭を取っていないのに、捲りを差すとは、さすが「意外性の男」高根沢だが、ここは500バンクかいな! と思ってしまう。

 ここから車券を購入し始めた5Rで、近畿の松山勝久(福井73)−藤本浩(兵庫46)−礒野永悟(滋賀67)のトリオが、捲り不発の末いずれも落車(礒野が失格)。一番格下のはずの岡嵜浩一(神奈69)が鈴木孝征(埼玉75)の番手に嵌って、差して1着。細川貴雄(愛知53)が、伸びて2着。ここは、本当に西武園なの?

 6Rには、江口晃正(長崎75)−島田竜二(熊本76)の2段駆けも怖いが、ここは、田村英輝(徳島78)の逃げに乗る、山原利秀(高知63)の頭で固いだろう、と思い本命。
 「もはやここは“西武園”ではない」と思い、相手を単騎で切り替えてくる「穴を呼びそうな名前」大掛愛崇(栃木75)、「HPでおなじみ」森下太志(千葉61)の二人に絞る。
 最終3コーナー、山原の後ろの佐藤幸博(岩手63)が外に膨れるのを逃さなかった、森下。
 「よし、1−7できた!」ところが……。
 なんと89点のS級選手田村が残って1−6。当然50倍近くの高配当である。
 ここで西武園の本領発揮か?

 気を取り戻して7R。A級決勝。近畿からは中条憲司(兵庫82)−山下茂樹(大阪65)の両者が乗っている。
 しかし、本命は新鋭川口直人(神奈84)。とにかく今勢いがある。西のファンも覚えといて損はない選手だ。
 番手の大村和臣(静岡63)に、地元田仲剛(埼玉51)が競りを挑む。点数的に互角の両者だけに、競りは長引きそう。川口はダッシュがいい選手なので、まともに行くと両者は千切れてしまう。
 そこで、その後ろからタテのある選手や自力脚のある選手を何点か買った。
 問題は、大村の後ろの谷津倉良太郎(静岡72)。同県の先輩の後ろということで、切り替えるにしてもタイミングが遅れるのではないか、と思い一旦は切った。
 しかし、昨年8月に行った函館−青森−静岡の4泊5日列車競輪旅の最終日、静岡の地で静岡4人結束の2段駆けシーンが決勝であったが、谷津倉は4番手なのに最後の直線で、元S1の国持晴彦(静岡41)を抑えて2着にゴール。その記憶があるだけに、締め切り直前に、川口−谷津倉を買い足した。

 レースはやはり川口の後ろが千切れる。
 そこを追い上げたのが谷津倉!
 山下がいつの間にか3番手。単騎の本村隆文(岐阜81)も捲り決まらず、最後の直線。山下が中割り。山下の純地元に住む私も今まで見たことがない。
 「山下〜差すな〜!」。
 川口がゆうゆうと1着。2着は谷津倉がやや残ったように見えたが……。
 モニターを確認すると、やはり谷津倉だった。ここでのノーホラは、とりあえず免れたのだった。

 レースが確定し、払い戻しを済ませると、優勝した川口のインタビュー、表彰式があった。S級メインのレースで見るのは、実に95年1月の四日市(三橋政弘(和歌69)が彼自身今の所唯一のVを飾った)以来。本当に久しぶりだ。こういうサービスは本当にいい。
 
 8Rは、地元馬場喜泰(埼玉76)−松島伸安(群馬61)が人気だったが、私の狙いはやや復調気配が伺える岡崎孝士(熊本77)。マーク川口秀人(徳島57)が不安だが、大丈夫。川越義朗(神奈61)が飛びついてくれる(妄想)。岡崎から川越、突っ込む伊藤健詞(石川68)を買う。有坂直樹(秋田64)は不調なので消し。

 と思ったら、有坂の前にいた阿部俊二(岩手77)が先行してしまった。岡崎はインに詰まり、馬場が捲り切る。有坂が切り替え、直線余裕で差して1着。おいおい、最近不調なのとちゃうの〜……。

 9R。ここは斎藤登志信(山形80)が登場。かなり復調傾向にある。問題は、豊田一馬(群馬73)−大河原和彦(群馬58)の群馬勢。豊田が思いっきり行ったら、大河原の頭はある。吉永好宏(広島80)は、ほぼイン粘りで間違いない。このレースはマーク屋に魅力がない。というわけで、斎藤=吉永の80期両立を中心に、穴で群馬勢を。

 車券を買いに行こうとしたら、ここで、連携を約束していた栃木の曲者太郎さんが連れと共に登場。大学生でありながら、今や、1000人を超える読者のいるメジャーマガジン(オビスポは? って声が聞こえてくるけど……涙)「競輪でめしを食う」の発行人だ。そして、高木さんという大宮の方も加えた4人で、ここからは展開していくのだった(吉井くん、ゴメンね……)。

 9Rは首尾良く登志信が先行。番手に吉永が。本当に彼は一瞬のスキを付いて、好位置を取るのがうまくなった。おかげで、完全に予想通りだ。
 そのまま誰も捲ってこず、二人のマッチレースに。吉永が差してくれたほうが配当が付くのだが、さすがここでは力の違いを見せる登志信が押し切りの結果。高木さんは、登志信の頭の方しか持ってなかったので、ヒヤヒヤものだったろうが、当たって良かった。

 10R、ここには師匠のおかげで名前先行の、伊勢崎彰大(千葉81)が登場。番手は、いつも前が行ってくれず、競られて飛ばされる恵まれない努力の男(カミガタ評)、宮倉勇(千葉58)。とにかく、先行屋だった宮倉も10年で脚質が「差足」に変わるのである。時代の流れを感じる。
 ここは伊勢崎は捲りだ。小沼良(埼玉68)−広川貞治(東京61)−茂木和臣(埼玉63)で2段駆けだろう。ここは広川で勝負。伊勢崎は捲りきったときのみの頭のみ。相手は茂木もそうだが、池尻浩一(福岡63)、内藤宣彦(秋田67)の突っ込みを買った。
 
 号砲一発、伊勢崎が後ろを取る。先行と見せかけて、動かず捲りを打つのだろう、と思っているとインから、前に出てきて突然のX攻撃! 他ラインを分断し、ジャン3角で一気に先行態勢へと入る。確かにこの戦法はよく考えられたものだったが……。
 彼はツメが甘かった。1角から捲ってきた池尻に、3コーナーで簡単に捲られたのである。池尻−内藤で決着、7810円。まさか、ヒモの両者で来るとはなぁ・・・・・・。
 伊勢崎の敗因、言い換えるとツメの甘さの原因は本当の先行を知らない、ということにあると思う。土屋はどこのタイミングで仕掛け、どういうペース配分で行けば、自分とその後ろがいい展開になるか、ということをよく知っている。彼の武器はスピードでは「ない」。
 それに比べて、伊勢崎は自分の持つスピードだけに頼った競走をしている。競輪はただ単純なスピード争いではない。そこが、彼が陥っている罠だと思うし、私が彼の競走に魅力を感じない理由でもある。

 そして、決勝戦。

1 一丸 安貴(愛知70)
2 星島 太 (岡山66)
3 伊藤 保文(京都71)
4 佐藤慎太郎(福島78)
5 村上 清隆(山口53)
6 舘  泰守(愛知80)
7 大井 啓世(奈良58)
8 松岡 慶彦(栃木74)
9 吉岡 稔真(福岡65)

並びは925 618 374である。 

 ごらんのメンバー。やはり今回の目玉は吉岡。なかなかの好調ぶりをアピールしている。ただ番手の星島は最近の成績が今一歩。ここはあえて切った。一方の力の雄は伊藤保文。得意のスピードに磨きがかかってきた。機動力タイプの増えた近畿で、番手の仕事もできるのも頼もしい。事実、準決勝は舘のハコ回り。インに粘られながらも、アウトで競り勝ち、頭を取っている。その舘は最近いい意味で自在めいてきた一丸を従えている。一丸は準決勝、上がり12.3ながら逃げ切り勝ちを収めている。

 曲者氏は、「舘の先行で一丸の2段駆け。その時保文は動かず乗っかる形で。それなら一丸後ろの松岡が面白いのでは」と。私は、「保文はやはり一丸の2段駆けの前に動く」と見て、最近の復調気配ある吉岡から何点かが主体。
 気になるのは、保文はたまに先行するときがあること。数年前の向日町松本勝明賞で、保文が先行して、番手を回って優勝したのは大井さんが優勝。今回もその再来を狙って、大井さんから、後ろにつく佐藤へも押さえた。
 
 そしてレース。昔は前を取るレースが多かった吉岡だが、今回は中団からレースをすすめる。近畿が前、中部が後ろ。
 残り2周になったが、誰も動きには来ない。鐘前ようやく中部が上がってきて、近畿を押さえる。
 保文は少し突っ張るそぶりをみせたが、叩き合いせず引いてしまう。引いてほしくなかったのに。
 吉岡が後方で動かなかったので、保文あっさり4番手を取った。
 吉岡1コーナーから動く、「ん、これは早いぞ」。併せて保文も2角から踏み上げる。
 一丸は番手捲りに行かない。これは吉岡にとって誤算だ。あっさり、保文が中部を飲み込む。
 ここでインに詰まった一丸が、外にいた大井と接触。後ろの選手を次々と巻き込んでいく。バンク上は保文、吉岡、大井、星島の4人だけに。
 保文−大井−星島でゴール。だが、審議の結果大井は失格。
 「そりゃないよー」。涙雨が激しく降ってきていた。

 今回の西武園だったが、予想とは違って結構捲りが決まりやすかった。西宮の決まり手とよく似た感じである。参考にしてみてはいかがだろうか。駅から近い、という共通項があるな。

 終了後、4人で大宮へ飲みに行く。
 もう関東には何度も行っているので、標準語の会話には慣れていたが、お好み焼きは定食で食う風習は関東にはない、という話には驚かされた。
 大宮といえば、大宮競輪。
 以前は東武野田線に乗らないと、大宮駅から長い距離を歩く必要があったが、今は無料バスが出ていて、簡単に行けるとのこと。50場制覇に向けて、いずれは行ってみようと思う。
 また連携することを約束して、大宮の駅で3人と別れた。

 投資 4400円 回収 3500円 収支 マイナス900円


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