2001年5月4日(金)
門司競輪前節2日目

 門司駅で下車。改札口近くに、看板があって「無料ファンタクシー」というのがあるのを知る。乗り場へ行ってみると……ただのタクシーやん。運転手さんが、紙で請求書に乗車人数、時間を直接書いていた。バックには、巨大な山が見える。住宅地は、その山すそにへばりついているという感じだ。坂道を登り、10分足らずで競輪場へ。

 施設は、あくまでボロい。まず、特観席がない。ホームスタンドに、イスとイスとの間隔が広い席があったが、これがかつての特観席の名残りであろう。特観席がない競輪場は、今まで奈良しか見たことがなかったので、これは驚きだ。ホームは金網からしばらく離れた場所から、スタンドの建物まで5段くらいのヒナ段になっていて、比較的見やすくオススメ。自然の勾配をうまく利用した構造になっている。

 1コーナー沿いには、場外発売のためのサイクルシアターが建てられていて、インターネットでオッズや、結果を見ることができたり、大画面のモニターで、レースを観戦できる。綺麗な食堂が備えられており、そこで弁当を買うこともできる。もっとも、今日は10レース終了後に、前日の久留米のような他場記念の場外発売がない。せっかくの施設も、宝の持ち腐れである。結局廃止が決まってしまって、もったいない限り。この施設をもっと有効活用すれば、もう少し頑張れただろうに。

 ここの最大の魅力は、食べ物が安いところ。特にたこ焼きは、7個100円である。しかも、私が学生時代、大学のそばで売っていた6個100円のたこ焼きよりも、量が多く青ノリまで掛けられている。他にもうどんが350円、お好み焼きも350円、ホルモンが1つ100円(これは西宮並み)と、なかなかリーズナブルだ。

 ここのバンクは、500バンク。内側は陸上トラックになっていて、緑や花が植えられている。競輪場の中でここだけが綺麗だ。500バンクではあるが、ゴール線はホームストレートの真ん中過ぎに置かれていて、大外一気や中割も決まりにくいので、比較的に先行有利だ。捲りは、3コーナーまでに捲り切る必要がある。

 ここで面白かったのが、車券の締め切り直前の放送である。
 普通は「まもなく締め切ります」という放送があるが、ここではその放送の後に、「いよいよ締め切ります。いよいよ締め切ります」と放送。「締め切りいたします、締め切りいたします、締め切りいたしました」と放送があり、発売が締め切られる。最後の放送の最初の「締め切りいたします」の時点で、もう容赦なく窓口は閉められ、列に並んでいても買うことができなくなる。
 それにしても、「いよいよ〜」なんて放送は初めて聞いた。警備のおじちゃんまで、「いよいよ締め切ります」と連呼する姿はどこかユーモラスである。

 レースを観戦、車券をチョコチョコ買っているが、全然当たらない。そして、準決勝の3つのレースを迎えた。今回は、関東勢、南関東勢を迎えての開催である。

 まず、8R。ここには、吉岡稔真(福岡65)の弟、吉岡啓史(福岡75)が登場。中村良二(福岡81)の先行に乗る。3番手はいろいろ私と因縁深い山中猛(宮崎78)。かつて四日市で九州の3番手を回りながら、鐘4角で突然のイン切り。他ラインがカマして、九州共倒れになったという過去があるだけに、ここも不安がよぎるが、最近はラインに忠実なレースをしている。確かに98点持ってて、連対率も62%。今の山中は強いが、3番手の位置は逆に絡まれることも多い。ここは吉岡のチョイ差しでいいと思って吉岡−中村の1点を。

 発走機に選手が登場。吉岡は本当に体つきから顔まで、兄そっくりである。
 レースは中村が、関東を押さえて先行するが、中村のスローピッチ先行を見た、市本隆史(広島72)が単騎で吉岡の横に追い上げマークに来た。2コーナーで吉岡が外に市本を振った。ここが山中イン突きのチャンス! と思ったが山中はインを突きに来ない。吉岡がすぐに元の位置に戻る。
 市本は、さすが98点の実力者。有利なインでも、なかなか飛ばせない。最終4角までずっと併走。おかげで、山中は市本マークの山本幸二郎(徳島66)のインで詰まってしまった。万事休すだ。結局中村−吉岡で決着の裏目。吉岡は競りで脚を使いすぎた。驚異の粘りで市本が3着に。
 そして山中はインに詰まったまま、ごちゃつき、直線踏み場がなく敗れ去った。お互い助け合って生き残るためのライン戦のはずなのに、逆にライン戦のしがらみによって、実力者が優出できなかった。山中に哀愁を感じた。

 9Rには法月成祐(神奈77)が登場。捲りのスピードは一級品のものを持っている。それは分かるが、対抗する九州の機関車、山崎岳志(佐賀74)も先行すればなかなかのもの。法月は、山崎がカカリ切る前に早めの仕掛けが必要だな、と感じた。なら、マークする柳原泰(東京55)の差し目だろう、と考え、あと法月がスピードで行ききった時の、山崎マークの藤野光吉(佐賀75)との絡みを買った。

 レースは、先手を奪った山崎が最終1コーナーで、流す。さあ、法月ここで後方から自慢のダッシュでカマしだ……と思ったら途中で止まってしまう。本人自身中団狙いのつもりだったろうが、さすがに誰も入れさせてはくれない。結局法月6番手に下げられてしまう。3コーナーから法月捲っていくが、山崎の先行の前に車が伸びない。
 結局レースは、藤野のチョイ差しで終わり、法月は優勝戦に駒を進められなかった。

 そして最終10R。今開催の地元の目玉、山村雅彦(福岡61)が登場。瓦田勝也(福岡77)の先行に乗る。大矢将大(新潟81)水島洋一(群馬53)の関東勢が相手だ。大矢将大は、大阪の大矢兄弟からいえば、叔父の息子にあたる関係。大矢兄弟自体生まれは新潟で、阿部康雄(新潟68)を通じて、大阪と新潟の「急行きたぐに」の隠れラインがある。

 ここまで私自身ノーホラ。とにかく当てたいので、もうわけが分からなく、いろんなものを購入。当たるはずないよな……。
 
 レースが始まる。瓦田の先行。大矢が一気に叩いていく、と思ったら中団で一度止まってしまう。大矢は、1センターで再度踏み出すが、結局もがき合って苦しい態勢だ。ここで山村の後ろにつけていた、青島一法(静岡58)が落車。
 最終4コーナーで大矢が力尽き、水島外を踏む。粘る瓦田、番手から山村、突っ込む水島。ゴール前3人の争いだ。瓦田=山村は持っていたが、無情にもゴール線は、水島がわずかに突き抜けていた。

 私はあきらめて車券をすぐにごみ箱に。帰る準備をしていたら、審議の放送。審議対象は水島!
 あわてて、車券を探そうとしたら、清掃のおばちゃんがゴミ箱に客席の床のポイ捨てされていたゴミを回収したものを、ゴミ箱に入れようとしているではないか。取り返すこともできずに、悲嘆に暮れる。すぐに空しく放送が。

 「審議しましたが、2番選手(水島)は失格とはなりません」

 結局水島−瓦田の筋違いで決着。捨てた車券が当たらなくて良かった・・・・・・って結局ノーホラだが・・・・・・。

 時計を見ると、まだ午後の3時50分。
 おいおい、場外もないのに、早いやんけ〜と思ったら、車券の発売時刻の札に、きっちり最終レースの発走は15時40分と書かれていた。めちゃ早〜!

 帰りの無料バスの乗り場が分からず、歩いて門司駅へと向かった。


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