果たして吉岡がグランドスラムを達成するのだろうか。
前から予定を立てていた名古屋オールスター行きであるが、その歴史的瞬間が見れるかも、という事で、前日の夜から非常に楽し
みだった。
朝起きて、5時半の電車で家を出て、大阪に出て、安く済ませるために、近鉄電車の急行を乗り継いで名古屋
へ。9時
半前に到着。
翌日の万博のチケットを買い、名鉄バスセンターから無料バスへ。
渋滞もなく、20分足らずで名古屋競輪場へ。
名古屋競輪場は1年半ぶり。場内に入ると第1レー
スが始まっていた所だった。
続いての第2レー
スの車券を買う。ここは荒井で固いだろう、その割には配当がつくなぁ、と思っていたら荒井は見事に飛
びました…(苦笑)。
場内を歩いてみる。
前回行った時にちょうどカフェスタイルのお店が開店していたが、競輪社会の高齢化の元、いつまで持つのかな、と思っていた。
どっこい、オールスターだからということもあるかもしれないが、かなり繁盛していた。メニューもハンバーグなどの定食類が新
たに加わり、充実。若い人の利用が多かった。
その入り口では展示物のショーケースがあり、選手が引退するときに贈呈される時計が飾ってあった(山田武義元選手からの寄
贈)。
ショーケースの中に、「41ST
Ichinomiya」のオールスターを記念
して作られたと思われるマグカップがあって、そこにドリームレースに出た選手の
似顔絵が、書かれていたが、何か変。小嶋がめちゃくちゃ若い。神山にはシワがなく、
そして十文字は腕を振りながらジョギングしていた。何か不思議なイラストである。このオールスターは誰が優勝したのか、と考えてみた。やがて山口幸二が優
勝した98年
の一宮オールスターであると分かった。
鉄道で忘れ物をして、期限までに取りに来られなかった持ち主不明の荷物を販売している所があった。
傘や本は一般的だが、カツラを付けた人形の顔もそこに混じっていた。
一体、誰が置いていったのだろう。そして何より、誰がこのようなものを買うのだろうか…。
忘れ物コーナーなのに、なぜか新品の時計や、老眼鏡、そしてヨン様グッズまで売られていた。
それスタンドは、かなり閉鎖、立ち入り禁止されているところがあったのが気になった。
そう、屋根(といっても、トタンのみずほらしいものですが…)付の小さなバックスタンドは取り壊され、跡地には芝生が敷かれ
ていた。
初めて京都競馬場に行った際(20年以上前)、芝生の上に座ったのだが、それと同じ開放感があった。ただし、このスタンドに
いると、2コー
ナーにあるオーロラビジョンが見えにくいので、ご注意を。
さて、そのバック側の芝生で5Rの
選手紹介を見て、ある競輪ファンが…
「がんばれ吉岡」「小橋!」の
声が…。
おいおい、このレースには吉岡も小橋もいいひんって!
その後も、そのファンは5Rにはいない選手の名前を選手が通過するごとに叫び続けていた…。
外はイヤな位、湿気が高く生暖かさを感じた。
以前青山高原を通るときに、雷にあったが、その直前に感じた生暖かさと同じ感じで、不気味だ。
今日も雷におそわれるのだろうか?
スタンドの中を無料給湯サービスのお茶をもらおうと、歩いていると、呼び出しの場内放送が流れた。
ここの呼び出し放送は、最初に「お客様のお呼び出し申
しあげます」を2回言ってから、どのお客様に呼び出しがあるのかを伝え
る。
こんな競輪場は初めてだ。
7R。
本来ならケンしようとしていたレースだが、矢口、海老根の2分戦なのだが、この二人のウマウマ車券2=3が22倍と30倍と意外に付
いている。これはおいしいと思って、折り返しを買う。
レースは前に一度出た海老根を、矢口が叩いた。一度引いて、好位置を取り、巻き返すと思ったら、海老根どこまでも下がってい
く。「ウワー、海老根出切られた途端に、何もなしかよー」。矢
口スジで決着した。
8Rはケンして、9R。
ここでやっと初的中した。岡
部−小橋でワンツー。1番人気だが、最初560円だったのが、670円まで上
がっていた。思わず微笑む。
2番人気だった小嶋は、捲りに行けずにマーク山内に2コーナーで捨てられる始末。ドリームレースを捲りで快勝した小嶋だが、
タイミングがドンピシャだっただけで、その後は2走捲り不発。小嶋は実は良くないのでは、と前
日のレースで思っていたが、その予想は的中していた。
払い戻しを済ませ、4コーナースタンド裏を歩く。フリーマーケットが軒を連ねていた。
その中に電車やロボットのおもちゃ、スーパーファミコンのカセットがが売られている店を見つけ、ふと足を止めた。
このお店では、中古のCDも売られていた。その中に一つ気になるCDが…。
「石
川ひとみ スーパーベスト」
かなり汚れてはいたが、裏を見ると、「1986 MADE
BY CANYON
RECORDS」と出ている。
今はポニーキャニオンとなっているが、その前に出したCD。しかも1986年といえ
ば、CDが普及する手前の段階。
「これは、価値あるものだ」と思った。
店長のおじさんに、いくらするか聞いてみた。
「1000円
です」。私「うーん」。おじさん「800円
までマケていいですよ」。
その声に押され、私「では、買います!」。
すると、おじさん、「もう1つ、100円のCDの入った箱の中から、1つ持って行って下さい。いいものがあれば、ですが」と
おっしゃられる。
その箱には、CDがケース入りで、たくさん入っていた。街の中古CD屋の100円コーナー
と違って、結構、どれも価値がありそうなものだ。
その中から、杏里の1988年のCDと、鈴木亜美がまだ「鈴木あみ」だった頃のアルバムとどちらにするか迷った
が、希少価値という面と、最近80年
代の音楽に興味を持っているので、杏里のCDを持っていく事にした。
800円でCD2枚。果たしてこれらはお宝なのか?
10Rは
最初ケンにしようと思ったのだが…。
「そういえば、今年の宮
杯のセミファイナルは、トシノブ−手島だったな。手島はいるけど、トシノブは…このレースに出てるやん」。
オッズを見る。7−9も9−7もその時、38倍台。
締め切りまで、残り2分。この裏表を買っておきたい。
その時4コーナーのスタンドにいたのだが、急いで階段を駆け下り、穴場へ向かう。階段を駆け下りる途中、残り1分に変わった。
マークカードに記入し、穴場のおばちゃんに出す。(7)(9)ボックスの車券を受け取る。その次の瞬間、穴場のフタは閉じ
た。
席に戻り、10Rを見る。
これまでのレースに比べ、声援(ヤジともいいます)が多い。武田豊樹が出るからか。
道中は4分戦という事もあり、ラインの入れ代わりが激しい。最後は武田がホームから叩いて先行。
…武田は強かった(結
果)。
11Rの
足見せが始まる。
前日のインタビューで、北日本は坂本を前にするのか、佐藤慎太郎を前にするのか決めかねていた。
足見せは396。つまり佐藤が一番前。
グランドスラムを掛けている吉岡の声援が一番大きいか、と思ったが、声が混じって聞き取ることができない。
5〜6年前はもっと選手への声援の声が大きかったな、と思うと寂しい。
決勝はレースの予想を迷った。
メルマガ予想で
は、神山を軸に、佐藤への折り返し。神山・佐藤から有坂への合計4点と予想。
しかし、吉岡のオッズがもし5倍を超えることがあれば、吉岡−小野も悪くない、と思っていた。
さらに悩ませることが、選手のギア変更である。
小野と佐藤がギア変更をしていた。共に1ランクギアを上げている。
小野のギア上げは、問題ない。前日準決勝Aで、吉岡の捲りに付いていくのがやっとで完
敗。
そのため、ギアを上げて直線勝負をしたいという事なのだろう。
しかし、佐藤のギア上げは正直疑問に苦しむ。番手競りをするなら、ギアを下げたほうが俊敏に立ち回れる。
くろさんのページの
中で、『競輪雑記・予想』というコーナーがあって、その中で「慎太郎は捲りも考えてのギアを上げたと私は考えた」という記述を見て、佐藤はタテの競走でラ
イン毎引き出す事を考えているのではないか、と思った。
おそらく吉岡は優勝するためには捲りなので、先行が予想されるのは金子。その番手は並びでは松岡だが、最終的には神山が取っ
ているだろう。その後ろからタテの競走なのか。
しかしこれは神山に読まれるであろう。佐藤が仕掛けるのを見て、合わせて神山に出られるぞ、と考えた。
さて、メルマガ予想では私は神山と佐藤とを同列に置いていたが、ギアを上げる選手は買いたくないタチである。ではどのように
して買うか。
神山が金子の番手を奪った際に、松岡はどうなるのか? もし松岡がそのまま番手を奪われた後下がるようなら、佐藤は脚を貯め
るため無理をしないだろうから、マエタクが神山の後ろを回っていると考えた。
神山に競り負けた松岡をマエタクが入れることも考えられる。その時は最終4コーナーで自力屋の定めか、松岡は外に浮く。そこ
を突っ込むのは、マエタクと有坂だ! と思った。
佐藤がタテの競走をするなら、吉岡は8番手に置かれるので、確率はやや低くなるが、何らかの形で前団がごちゃつけば、吉岡が
小野を連れて、一気に前を捲り去るであろう。その時はギアを上げたとはいえ、準決勝の内容から見て、小野が吉岡を差すことはあるまい、と考えた。
締め切りまで残り5分、決断のときは迫っていた。結果5=4 5−9と7−1とを半分ずつ買った。最初は36倍付く5−2
を押さえてみようとも思ったが、神山は一気に前を残さず踏むだろうから、金子はひとたまりもないだろう、と考え、止めた。あと5=3も40倍付いている
のが気になったが、ギアを上げた選手は買わない、の信念の元買わなかった。
数分後、ハードロック調の音楽に合わせて、選手が入場する。今度は吉岡に圧倒的な声援が集まる。しかし、昔はもっとあった。
意外に少ないな、と感じた。
号砲が鳴り、小野が誘導の後ろを取る。最終的に誘導の後ろは、71 396 284 5という並びになった。
隊列が落ち着いて、少しだけ目を離してまた隊列を見ると、神山が金子の後ろにいた。神山はジカで主張するつもりだ。
当然松岡も金子の後ろに付き、両者は併走になった。内外の入れ替えが続き、赤板。ここで神山が金子の番手を回っていたが、松
岡は番手に上がってこない。金子が先頭のラインは2584の並びになった。
赤板になっても、金子はなかなか前を押さえに行かない。やっと鐘で動いたと思ったら、佐藤が突っ張って、先頭に佐藤が出る。
金子はすかさず叩く。佐藤が踏み出し、番手に飛びつこうとする。残り1周。さぁ、神山ここが勝負だ!
佐藤がインで抵抗するが、金子のダッシュによって生み出されたスピードを利用した神山が、番手を守る。佐藤は3番手だ。吉岡
は8番手。万事休す。佐藤が3コーナーくらいから仕掛けていく、と思ったら仕掛けてこない。神山が4コーナーから交わしにかかる。佐藤も追い込むが、神山
が先頭でゴールを駆け抜けていた。神山が前年西武園に続いて、オールスターを連覇した。
VTRを見ると、金子がよく頑張っていて、神山が金子を交わしたのはゴール前だった。5
−2。
少しでも押さえてれば良かった…。
インタビューでの神山の声も合わせて考えてみると、神山は番手にいないと勝てない、という信念を持っていて、戦法に迷いがな
かった。
それに比べて佐藤は戦法に迷いが出たのか、どう走るか決められなかったり、ギアを上げたりした。飛びつけなかったのも、ギア
を重くしたことによって、金子の踏み出しのダッシュに付いていけなかったのが、原因だと思う。そういう迷いのある選手は勝つのは難しい。
吉岡は展開に左右されるので仕方ないだろう。
金子は強かった。
今回の名古屋は1レースのみ的中。予想ではいいのだが、現場で車券を買うと当たらない、という傾向が続いている。本番に弱い
のだろう、と自分のことを思う。
翌日は万博を見るので、名古屋市内のネットカフェでこの文章を打ち、一晩を過ごした。