朝枚方の家を出るときは、土砂降りだったのに、和歌山の駅に降り立つと、雨はやんでいた。
前線は意外にも南下してこなかったのか?
通り道の古い高架。いつできたのだろうと、いつも思う。
踏み切りの向こうにスタンドが見えた。比較的新しいスタンドなのに、外壁の汚れがひどい。奇麗に保ってくれよ、と言いたくなる。
1500円の特別観覧席を買って入る。
取った席はちょっと見難いが、まぁいい。どうせ決勝では下に降りるのだし。
川
崎国際競輪のナイターの場外発売があった。
直後にサ
マーナイトフェスティバルもあり、2線級のメンバーだが、だからこそ、ここで池田さんには取ってほしいと思う。
3Rは
佐藤亙の後ろで、ラインの野呂と京都の稲森が競り。佐藤が踏み出すと、稲森が競り勝ち離れながら追走した。
踏み出しで勝負する若手が増えるとともに、ガチンガチンの消耗戦ではなく、踏み出しでの一発勝負となってきたのはいい傾向だと思う。
4コーナーまで必死に食らい付いていた稲森だったが、最後は力尽き、捲り追い込んできた奥中に交わされた(結
果)。
競輪研究で近況を見ると、アグレッシブな戦いが目立っており、まだまだ負けない! という意欲には頭が下がる。
そんなこんなでレースは進み、7R。
雨が激しく振ってきた。今頃になって前線が南下してきたようだ。
ここには木本が出てくる。杉田は最近不安で、インに詰まると、苦しいレースが今日は続いていたので、外し、捲ってくるだろう小笠原と、それに続く鈴木を相
手に。
川西が踏み出すと、杉田が千切れる。
「オイ!」
片山が突っ張り、川西と叩き合いになって、小笠原にとっては、「ごちそうさん!」の展開。
杉田はおまけにゴール前に西川とともに落車…(結
果)。
8RA
級決勝は、善利が先行し、先頭で4コーナーを通過。岡本は交わすのが苦しいか…。そこを中を鋭く割るピンクの勝負服!
写真判定の結果2
−8−5。3連単は8万台だが、松原の走りに度肝を抜かれた。
9Rは
竹田=富永が人気だったが、竹田は2日目簡単にタレて捲られ、粘りがなかった。付く富永も精彩を欠く。ここは足達の自在戦と捲る藤田の7=5とスジの川崎
の7−3、番手がもつれた時に逃げ粘る竹田との7−9で勝負。
レースは竹田が執拗に藤田を押さえる。藤田のカマシを警戒しながら、できるだけ遅く行こうというところか。
…と思ったら、中団の足達がインを開けるとともに、藤田がインをすくって、先行してしまった。足達はすんなり中団に引けばいいのに、成田なんかと競ってい
る。
余計な事を…。
藤田の掛かりが良く、竹田の捲りも不発。最後は安福のチョ
イ差し。
安福の1着なんか、そう見られるものではないだろう。もしかしたら、私が見たのが始めてかも。
新吾さんがせめて2着に来れば車券は外しても嬉しいが、わずかに藤田に及ばず…。
続いて10R
が終わり、いよいよ11R。
並びの紹介が何事もなく終わり、車券を購入。
買うのはもちろん池田さんの頭のみ。総流しを買い、後はどうするか。
遠澤が気になる。スジのミチタカとともに、遠澤を追加購入。
いよいよS級決勝戦の発走。
号砲が鳴り、やはり思った通り、642 917 358の並び。
池田さんも後ろをミチタカに取らせようと、スタートでスローダウンするが、後ろを取りたい峠がそれを許さない。
さぁ、残り2周。ここで峠が動く。峠がミチタカの横で止まって、動きを封じればその時点でアウトだが、荒木を意識するのなら、そこで止まらず、荒木を押さ
えに行くはず。
行ってくれ、峠。…よし行った。さらに峠は出切った後、引いた荒木を見たのか流した。今しかない!
やった、ミチタカがダッシュ。峠も軽くダッシュしたが、中団でもと思ったのか、ミチタカ−池田さん−岩見と先頭に出れた。ミチタカはそのままスローに落と
さず、ミドルペースで中バンクに上がり、ホームで一気に仕掛けた。ペースが上がる。
峠が中団にいるので、まだ安心できない。
峠が2コーナーから捲ってくる。
かなり行き足が良く、捲られると思った。池田さんの横を通り過ぎ、先頭に出ようとした時に、ミタチカとスピードが合った。池田さんもブロック。前に出れな
くなる。荒木も外を捲ってきて、3つのラインが併走。インには成田健児が突いてきたが、4コーナーでコースが塞がったのが見えた。ここで池田さんチャンス
と思った。
「差せー!!」
ゴール板過ぎで見ていたが、ミチタカは差したが、中を割って1人選手が来ている。ゴール!
「ああ〜…」
差されたと思った。
中を割ってきたその選手、まさかまさかの岩見潤。
松阪記念も今開催も着はまとめているが、精彩を欠いた走りで、今日なら絶対に差されないと思っていたのに。
今までのレースは死んだ振りだったのか
がっくりしながら引き上げる池田さんを見る。
後ろの観客から「1(番車)か7か」「これ1ちゃうか…」
突然私は飛び上がり、ゴールのVTRを流しているモニターを見た。
ゴール線。白とオレンジのユニフォームとが横一線。どちらか分からなかった。
結果を待つ。1着であってくれ…。
1分くらい後に結果を告げる放送が。
「お待たせしました。決定!」
「…1着1番イケダトモキ…」
「やった〜」
待ちに待った池田さんの優勝だが、意外とその声に元気はなかった。疲れた〜という気持ちのほうが多かった。
結
果は微差。1センチの差に勝敗を分ける勝負の世界である。
和歌山競輪は表彰式をしない。そこら辺が足を向けなくする一因でもあるのだが、地元選手が1着をすると、Tシャツの投げいれがある。
池田さんが登場。投げ入れはもちろん、詰め掛けたファンにかなり長い時間、交流を楽しまれていた。
最後は、上の下着まで脱いでプレゼント。敢闘門まで戻って行かれた。
終始笑顔だった。
これからのステップには絶対必要な優勝。
放心したままの気持ちのまま南海和歌山市駅へ。
喜びは電車の中で湧き上がってくることだろう。