1999年8月16日(月)
第3回岸和田市営第1日目「盛夏杯」

さて、今回の旅打ち競輪レポートは私の主戦場である岸和田競輪場がその舞台になる。
同じ日に 西宮の決戦があったというのになぜ初日の岸和田なのか。
それは33バンクの難しい西宮はイヤだ、 というのもあるが、
今日はとある企画を決行する手筈で待ち合わせ場所であるJR天王寺駅中央改札前向かっている。
カミガタ氏は昨日まで小田原・松戸という関東遠征に行っていたので、今日は車で競輪場へ行くことにした。
無論全レース終了後、カミガタ氏が大幅プラスであれば白タクで全額吐き出させるのである。

ヤロー2人で湾岸ドライブ(悲)

平成11年8月16日午前9時40分、私の運転する車は予定通り天王寺公園地下駐車場へ滑り込む。
入り口で料金表を見ると1時間760円とある。とんでもなく高い
こんな所に二度と止めるか、と思いながらガラガラの駐車場に車を止めて駅へと向かう。カミガタ氏は10分遅れでやってきた。
車は高津入口から一路湾岸線へ向かう。
 
車中で関東遠征の戦果を聞く。
天王寺駅で買ったスポニチでは松戸の決勝戦は神山が飛んで馬淵が勝ち車連は70倍ついたと報じていた。案の定マイナスだったという。
小田原では吉岡が落車したという。 まぁ大垣で運を使ってしまったのでこんなもんだろう。
あと東京で「ガイアジャパン」という女子プロレスも 見てきたらしい。勝負事の好きな人だ。
昨日とは打って変わって青空の下を車は阪神高速湾岸線岸和田北出口で降りる。
ここから西へ10分ほど走ると 右手に岸和田競輪場の無料駐車場が見えてくる。なかなかの好アクセスである。
なおかつ駐車場の収容能力は 岸和田の入場人員を考えると満車になることは考えにくい
兵庫・和歌山地区の競輪ファンの皆様の多数の ご来場を期待したいものである。

さて、今回の企画とは・・・?

さぁ競輪場に着いたわけだが、冒頭で触れた「今日の企画」とは何であろうか。
そういえばカミガタ氏は 天王寺駅で会ったときに「今日は初日なので自信がない。1点づつしか予想しない」と言っていた。
実は 待ち合わせ決定時にメールで(今回のテーマは「カミガタVS予想屋大仏 仁義なき戦い」です)と 書いておいたのだ。
そうでなのである。オビスポ編集長カミガタと本物の予想屋・大仏との予想デスマッチが本日のテーマである。
しかしいきなり「自信がない」と言われては企画倒れになる。
仕方がない。 当日プリントアウトして持参していた「まどかの父」氏の「荼毘社予想」も入れて予想屋3者の予想を 現地でウラを取ることにした。
題して・・・
「岸和田予想屋大戦争」
超おせっかい企画に変更である。

責任回避に成功し安心したカミガタ氏は「競輪展望」を買って場内に入る。
ここで「予想屋・大仏」について 読者の諸兄に説明しなくてはなるまい。
「大仏」氏とは岸和田・奈良で予想台を持って商売している本物の予想屋である。
そのスタンスは本命から中穴まででなかなかの的中率を取りながら、能書きは選手のレース特徴・性格を 名調子で解説している。
そのため「大仏」氏は場内でもなかなかの人気で台を取り巻くファンの数は 時には50人ほどにも膨れ上がる。
私自身、今年の元旦の岸和田で氏の予想を買いながらプラス1万4千円 と言う記録を出している。
ちなみにその日の総投票額は約6千円、1点あたりの最大投票額は300円である。

今日の企画も説明したところで大変な事に気が付いた。いつものところにある「大仏」氏の予想台がないのである。
そんなはずはない。場内を探し回ってみるとなんと特別観覧席入り口のそばに引っ越しをしていたのである。
おそらく前期の予想結果がよほど良かったのであろう。ますますカミガタ氏ピンチである。

なお今回のレポートは 企画の都合上、1レース毎に各予想屋の車連フォーカスを2桁数字で表し、最後に収支表を掲載している。
今後の参考にしていただきたい。

予想バトル、スタート!

1レース B級予選  
オビスポ 27
荼毘社  97 79
大仏   14 41 13 27 72(手書き)
足見せ  4138・27956

さて、バトルの始まりである。スポニチ本命は4番車デビュー2節目の土屋 宏が本命である。
ヤング先行で 行ける、ということだろうが、デビュー戦の静岡は838で終わっている。あまり期待できそうにない。
それなら2番車大畑で大丈夫だろう。しかし3者の予想を集計していると 迷ってしまって自分の車券が決められない。
まぁまだ1レースなので3者の最大公約数を枠連で2−5、 5−6にする。
レースは打鐘から大畑が先行した。これで終わりかと思いきや、ヤング土屋が5車を一マクリしてしまい 497で入線。
車連4−9は2340円であった。今日の展開を予感させるような中荒れである。
 
2レース B級予選  
オビスポ 34
荼毘社  31
大仏   37 35 31 34
足見せ  375296・418

どの予想も足見せも3番車が中心になっている。それもそのハズ3番にはこれがデビュー戦となる小林信晴が入っている。
競輪学校を70数名中11位の成績で卒業しているという。対する4番車佐藤敏夫は50才。 勝負にならないだろう。
長大ラインからもマクリをしそうな選手はおらず、車連37だけ買って観戦。
結果もそのまま375と入って車連3−7で280円。皆さんヒネリすぎである。
 
3レース B級予選  
オビスポ 57 52
茶毘社  51 57
大仏   53 51 57 75
足見せ  169274・538

やっぱり5番車は新人クン藪 謙治(京都)である。皆さん補欠の3番車藤原雄彦(大阪)より274の方が 気になるらしい。
2番車は落車明けの矢作 太である。ここで荼毘社の能書きを読む。「5の後ろは つけきれんやろ」。
ふーん、そうか。荼毘社予想に乗っておこう。
レースではやはり打鐘先行で5が抜け出す。へーやっぱりと思ったが、案外スピードがない。
「なんでや?」 とか思っていると537でゴールイン。車連730円。どうやら先輩を残しにかかったようだ。
やはり カミガタ氏の言うとおりなかなかの逸材のようだ。名前を覚えておこう。

やっぱり炸裂筋違い大穴

4レース B級特選  
オビスポ 76
荼毘社  74 47 71 41
大仏   17 71 18 28 25(手書き)
足見せ  96817・2534

皆さん7番車広島利玄(千葉)にご執心である。カミガタ氏に聞くと「良い脚を使う」らしい。
しかしスポニチは記者2人とも2517で一致している。7は無印である。
その上荼毘社能書きでは近畿ラインは2車づつ別行動らしい。よくわからないので見学。
レースは岸和田らしくライン大崩壊である。展開を書かなくて良いのでレポートには向いている。
確定は753。車連は6820円。岸和田はこういうプロの予想をハイブリッドしたような高配当が出るのでコツさえわかるとけっこう大物が釣れることがある。
それに大仏予想は手書きの時、信用できないことが今日わかった。
 
5レース A級予選  
オビスポ 27
荼毘社  23 32 27
大仏   27 21 23 31
足見せ  278956・314
 
さっきは見学して正解である。ここは私の好きな実力先行対決である。
2番車浅井雄三(3班 岐阜) 3番車松井佐智夫(4班 神奈川)とも連率が30%を越している。
一方が先行しもう一方が捲っていった ところがゴールで32,23なんて典型的岸和田車券である。喜び勇んで買う。
あとスポニチを見て31を追加。的中を疑わずに金網にしがみつく。
レースではなんと9番車北浦弘幹(和歌山)が打鐘から積極策である。
それというのも道中3が7番車大井一宏(富山54)と番手を競っているのである。そんなベテランマーク屋に勝てるわけがない。欲の掻きすぎである。
最後は95614で直線を向き、6と1がイン線一杯に突っ込んで入線。もちろん4角の審判からの赤旗審議 である。
期の始めということもあるのがろうが、まぁ大胆なことをやるものである。
ほどなくして失格は無しと言うアナウンスが流れ、614で確定した。車連6−1は69170円の場外ホームランである。
さっきが60倍で今が690倍である。この先、場内で自殺者が出るかも知れない。
 
6レース A級予選
オビスポ 13
荼毘社  13 31 17
大仏   17 13 18 31
足見せ  8349・17256

私はここで半分キレていた。お盆のうだるような暑さと、うだるような高配当である。
本当ならここらで お約束のビールを買って機嫌を直すのだが今日は車だし、予想の集計に忙しいので飲まなかった。
検討に入ろう。 1番車の連率50%ある飯尾主税(静岡)で断然という感じである。
「やっぱり1番ですかねぇ」と カミガタ氏に聞いてみると「いや、大阪だから櫓茶屋でしょう」とツマランことを言う。
そういえば3番車は櫓 智則(大阪) である。
この日の待ち合わせを決めたときにメールで(予想バトルで負けたら競輪場で即坊主かも)を言い渡してあったのを思い出した。

ふん、勝っても坊主にしてやる。

思考力が崩壊しているので大仏に乗っておく。
 レースは飯尾の独壇場である。マークも千切れてるし飛びつきも千切れているというスピードの違いである。
最後に8車立てのレースで39と入線。車連1−3は520円。点数調整のレースとなった。

各氏、着実にポイント

7レース A級予選  
オビスポ 72
荼毘社  72 27
大仏   17 41 71 25 27
足見せ  8714・25639

 ここで大仏氏の予想を私なりに分析してみよう。まず第一に点数が多い。
競輪だから点数が多いに越したことはないが(笑) これも商売のコツとして、とりあえず当てておかないと上がりが少なくなると言うことだろう。
これは少し前にテレビのドキュメンタリーで見たのだが、
予想屋というのは開催日毎に主催者に予想フォーカスを申告することになっていて、 期末にあまりに的中率が悪いと廃業させられるらしい
なかなか厳しい世界である。
そして第二にあまり高配当を 狙わない。オッズ的にはヒモ穴で70倍位までのものが上限である。
そして第三に、いつも看板に書いてある特報レース以外では 予想は加工する必要があるということである。
ちなみにこの日の特報レースは4、6,8,10レ−スだった。岸和田で 荒れるときは結構クセのある荒れ方をする。
私の岸和田作戦としては大仏予想の頭から手広く流しておきヒモ穴で大物を狙う、 というのが率が良いようである。
ということで私は大仏から25だけ抜いて4点を買っておいた。岸和田は案外スジが残らないレースが多いのである。
レース回顧は本命戦なので省略。275で入線し、車連700円。カミガタ氏おいしい本命車券を食い損ねている。

えっ、元S級が・・・

8レース A級選抜  
オビスポ 37 36
荼毘社  39 37
大仏   39(3.7) 37(8.2) 32(14) 72(17)
足見せ  183956・472

さて今節の主役級の一角、品田浩二(群馬)が3番車で登場である。なんてたって元S級戦士である。
なんてたって 100点レーサーである。抜け目が怖いので大仏の特報予想に乗っておく。
なおフォーカスの後ろの カッコ数字はその時の表示オッズである。これはカミガタ氏の思いつきである。
このレースはあまりよく覚えていない。確かラインが大崩壊したはずである。確定は526。車連は 61970円。
記憶がないはずである
 
9レース A級選抜  
オビスポ 18 81
荼毘社  79 97 74 94
大仏   92(6) 97(24) 78(61) 71(12)
足見せ  923465・718

もう場内は本命なんて買えるか、という雰囲気である。
素直に考えると9番車堀端 義治(石川)が抜けているレースである。
しかし大仏の能書きでは「堀端は強いが今まで岸和田で勝ったことがない」と言う。
そして荼毘社もカミガタ氏も 4番車の四柳慶一(静岡)が良いという。
7番車北野、1番車日向義治(大阪53)もうるさそうでまたライン大崩壊の雰囲気が漂う。
その上、カミガタ氏は「競輪展望」のデータで「8番車稲森朝次(京都)は初日に活躍するんですよ」と一見信用できそうなことを言い出す。
あーもーわからん。7,8,9のボックス車券に魂を売ってしまう。
レースはさすがの堀端が4、7を内に封じたままBSを取りきってしまう。
最後に2番車星野利昌(三重) に食われてしまって291で入線。車連は1280円。やっぱり堀端は岸和田が嫌いらしい。

「オビドケスポーツ」廃刊の危機!?

10レース A級特選  
オビスポ 94 91
荼毘社  12 21 19 91
大仏   15(23) 12(22) 13(57) 19(21)
足見せ  526817・394

さて泣いても笑っても最終レースである。ここで9レースまでの3氏の収支を計算してみる。
超大穴が 2発もあったせいか各人、回収率が30%から50%の辺りで低迷している。
収支では点数を絞っている カミガタ氏が一応マシではあるが、かろうじてのトップに過ぎない。
この結果を言うとカミガタ氏は 「この結果をアップしたら僕たち岸和田を出入り禁止になるかもしれませんねぇ。」 とつぶやく。
確かにこんな事実を掲載している競輪HPは他にないだろう。その可能性は否定できない。

しかし「オビドケスポーツ」は愛と真実のスポーツ新聞である。

国家権力のあらゆる抵抗に屈することなく 真実を伝えなければならない。
我々は悲壮の覚悟を持って検討に望む(そんなタイソウな企画か?)。

新聞を見ると5番車土屋裕二(静岡)の連率53%が目を引く。
81期でこの1年でA4からA1に確実に 成長している。押しも押されぬ本命である。
8番車松石 匡(埼玉)は「以前、土屋にやられたことがある」 とコメントし、リベンジの雰囲気プンプンである。
これの番手には元S級戦士1番車の水島洋一(群馬)が 控えている。松石がやってくれれば期待大である。
3番車は大仏が「穴男」と宣伝していた伊藤嘉浩(岐阜) が主導権を取りそうである。
そうなれば9番車佐藤嘉修(愛知)の出番である。なかなか難解である。
私は元S2という看板を信じて水島から行くことに決め、出入り禁止はイヤなんで大仏に乗っておく
13に目が眩んだとも言えなくはない。

レースは少しゴチャゴチャしたものの、土屋がうまく8、3を牽制してBSを取るという頭脳プレーが 炸裂する。
もともと南関東ラインの後ろにつけていた6番車地元大阪の甲斐豊彦が千切れていたが、もはや 52、25以外は一銭も要らなさそうである。
しかしそのとき死んでいたはずの6番甲斐がゲリラ捲りを打っていく。
そしてその番手には1番水島が飛びつき、61という変則ラインが外を追い上げていく。
おっ行くかー、と思いきや3コーナーで2番車栗本洋にきっちりと仕事をされて売り切れてしまう。
それからが圧巻である。水島が甲斐を盾にして4コーナーで山おろしを駆け、怒濤の1着入線。
後には 仕事をした25が入った。大どんでん返し成立である。
「うぎゃー、なんやそれー」
というカミガタ氏の断末魔が聞こえた。
そのうち確定放送が流れ、車連1−2は2290円。
なんと4人のうちカミガタ氏以外の3者がプラスというレポートに打ってつけの結末である。
かろうじてショックから立ち直った カミガタ氏は「やっぱり坊主にしなければならないんですかねぇ」とつぶやいた。

 帰り道のカミガタ氏のヘコみ方と言ったら言いようがないほどである。
途中で国道26号線沿いの ラーメン屋に入ったが、そこで今日の競輪の話をしているとカミガタ氏が
「久保田さん、競輪詳しいですね。 今度予想やってみませんか?」と弱気なことを言う。
ド素人に予想さしてどないすんねんな、たのむでぇ編集長、
と思ったが、ここでオケラに面と向かってこれを言うのはあまりにも酷すぎるので、
「まぁこれで明日、あさっての予想がしやすくなったんじゃないですか」とフォローしておいた。
しかし競輪場にいる間、サービスのお茶だけで過ごすというのはかなりすごいと思う。

  レース  オビスポ  荼毘社  大 仏
  1    X     X    X
  2    X     X    0
  3    X     X    0
  4    X     X    X
  5    X     X    X
  6    0     0    0
  7    X     0    0
  8    X     X    X
  9    X     X    X
 10    X     0    0

 投資額 1400   2700   4200
 回収額  520   3510   4520
 回収率 37.1% 130.0% 107.0%


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