2001年7月21日(土)
松山競輪2日目

 本日は、松山。この日は「競輪チャットしましょ」で知り合った、現地の「えひめみかん」さんという人と、連携することになっている。

 朝5時に小倉からのフェリーは、松山観光港に滑り込む。

 松山といっても、市街地からは恐ろしく距離があり、連絡バスに乗り遅れると、1時間ほど後の次のバスを待つか、15分ほど歩いて、伊予鉄道の始発駅から電車で市外に向かうか、である。 連絡バスは、フェリーが着いてから5分ほどで発車してしまう。
 去年夏、佐世保から小倉→松山経由で観音寺に向かう際、このフェリーに乗ったときに、そのことに気づかず、悠長にフェリーから降りてしまって、バスに乗り遅れたことがある。その轍は踏むまい、と着岸してすぐにフェリーから降りて、長いブリッジを、受付ロビー外のバス乗り場へ向かう。
 途中、ロビーにはここから出る船の出発時刻が掲載されていたが、とにかく本数の多いこと、多いこと。ピーク時には10分に1本の割合で船が出ている。
 
 バスに乗って、運転手から各バス停への料金の案内があった。列車で到着時刻のご案内を車掌がすることは多いが、路線バスでのあらかじめの料金説明は初めてだ。JR松山駅までは470円だそうだ。 
 バスはJR松山駅に到着。まだ6時にもなっていない。
 さっそく、青春18きっぷを活用して、南側の八幡浜というところまで、往復4時間かけて列車に乗ってきた。長浜という所があるのだが、とても景色が綺麗、JR四国が、夏場はトロッコ列車を走らせている理由がよく分かる。トロッコ列車には復路の途中すれ違っている。
 愛媛の車窓を楽しんで言えることは、やはり九州同様必要以上に道が整備されている、ということ。人のいない所に、高速道路など作られては、並行するJR四国は形なしである。現に、客数、売上とも大幅減だという。
 松山に着く手前の駅で、明らかに建てられたばかりの立派なスタンドがあった。高校野球の地方予選をやっていた。
 後で、えひめみかんさんに聞いたのだが、来年のプロ野球オールスターは、ここで開催されるらしい。街の中にも垂れ幕がたっていた。
 この近くに、400バンクで建てかえられる新松山競輪場も作られるそうだ。500がまた一つ減るのは残念だが。

 JR松山駅から徒歩で競輪場へと向かう。小倉も無料バスの状況はひどかったが、ここはまったくといっていいほど、無料バスはない。市の中心部、伊予鉄道の松山市駅からでも、徒歩で15分くらいの距離があるのに、バスがないとは。もっとも、建てかえられた後は無料バスが駅からは出るそうだが。

 それにしても、駅からビルが林立する市街地を20分くらい歩いているのに、銀行がなかなかないのには驚いた。それを、えひめみかんさんに言ったら、松山市駅付近の商店街に行かないと、ないそうだ。

 今の競輪場は松山城が建っているお城の領域にある。というわけで、自由に改装することができないそうだ。だから、根本的に施設を改善するためには移設しか道はない。
 松山競輪も西日本の他の競輪場に違わず、売上が恐ろしく少なく、去年の今ごろは「移設か廃止か」で、五分五分、いや廃止の可能性のほうすら高かった時期もあったが、最初は廃止の方針を取っていた市長の方針変更で、平成16年度に移転されることが正式に決まった。
 移転後ビッグレースが開催されることは、濃厚らしい。ふるさとが来るのか、それとも昨年の高知同様オールスターなどの特別が呼べるのか。

 お城の領域に入り、美術館みたいな所を過ぎると、おなじみの音楽が耳に入ってきた。まちがいなく、松山競輪場だ。
 入口の前には、前売り発売所が。入場券を買わずとも、前売りの車券が買えるのがちょっと嬉しい。

 中に入って、本当に驚いた。
 波板一枚隔てた所からもう、城の石垣があり、その天守閣が建てられている傾斜がきつい山の勾配が始まっている。城に見守られているように競輪場はあるのだ。
 施設はやはり、40年前にタイムスリップしたような感じ。とにかくボロイ。500円払って、特観席に入ったら、椅子は座るところにビニールの薄いクッションは張りつけられていたものの、一般の座席と同じ。机なんかもちろんない。

 お茶以外でフリードリンクなのは、向日町で見た噴水式のジューサーに入ったオレンジジュースだけ。向日町では100円払って飲んでいた、あのオレンジジュースがここでは飲み放題、なのは感慨深い。飲んでみると、味は薄かったが、あっさりした味でなかなかおいしい。
 フリーではないが、コーヒーもしくは紅茶を一杯飲める券がついている。砂糖入り、ミルク入りをコーヒーを注いでくれる女性にリクエストできるが、味や内容は他のいくつかの特観席で何杯でも味わえるような内容。
 特に特観席にメリットを感じる気はしなかったが、熱い夏場に冷房が効いた席で楽しめるのは、ありがたいかもしれない。

 前日の小倉と違い、レースは1レースからじっくり見ることができた。
 500にしては、やや自力有利という感じ。4レースの葛西雄太郎(愛媛85)橋本貴光(静岡74)のように、自力型同士で決まったパターンもあったほどだ。

 7Rあたりから、えひめみかんさんが合流。
 ここから、特別観覧席から正面の一般席に移動して見ることにする。
 
 えひめみかんさんも、全国を飛び回っているらしく、行った競輪場は30を超える。名前の通り、松山がホームバンクだが、ここは久しぶりだそうだ。3角捲りの選手をよく狙っているそうだ。

 この日は準決勝3レースが行われている。ここまでは見る一方で、あまり車券を買ってなかったりするが、それでも前日の小倉に続いて、ここでもまだ的中がない。去年暮れの九州→広島3連戦のように、3日連続ノーホラという醜態だけは避けたい。
 
 8Rは3分戦。九州は4人が結束し、瀬戸内勢、東勢に相手する。
 確かに森田正寿(宮崎76)のスピードは魅力だが、師匠であるかつての本田博(鹿児67)同様、積極性に欠ける。
 それなら、瀬戸内か関東か狙いはどちらかだ。瀬戸内は番手の和田昼善(高知53)が不安。東両者はバランスがいい。瀬戸内の先行をカマしか、捲りでワンツーを決めるはずだ。それに、切り替えてくる三村学(岡山73)を絡めて。

 レースは私の思った通り。瀬戸内の先行を最終バックで、東ラインが捲りきった。後方に置かれた森田が、いいスピードで捲りを打ってくる。が、前二人には届きそうにはない。
 結局「とっとこハム太郎」……じゃなかった(笑)、戸ノ下太郎(千葉76)小野和昭(長野63)をゴール前で交わした形で東がワンツー。最後に自分だけ届く仕掛けで、森田が3着に捲り上げてきた。
 「小野も森田も安全策でしたね」とえひめみかんさん。
 ともかく、今回の遠征初の的中だ。

 続いて9R。「沖縄レーサーズスクール校長」といえばおなじみ、清嶋彰一(沖縄40)が登場。
 前日は、先ほど走った森田を目標に、北九州勢とは別線勝負だった清嶋さんだが、本日は、私自身何かと因縁深い山中猛(沖縄78)を目標に、本来先行屋である優勝候補の一人、森山昌昭(福岡67)を3番手に控えさせる奇妙な並び。
 森山が人気になっていたが、追込みでない選手が3番手を回ると、他の選手にドカされたりして、結構来ない場合がある。波瀾も予想されたので、このレースはケンとした。

 結果は……この日一番面白かったレース。
 鐘過ぎから森山がインを切って、山中−清嶋で先制。単騎の上土井三昌(広島60)が、その後ろに割り込んで、森山は4番手。
 圧巻はその後だった。森山が前との車間を空けて、捲ってくる他ラインを牽制。一人で3コーナーまでにはお掃除を完了していた。前の清嶋さんは何もすることなく番手から抜け出して楽勝。森山はこれで決勝に残れないと、赤っ恥だったが、直線勝負で3着に。
 実に見事な九州の連携だった。人気なのに前に踏まず援護に徹した森山に、いろいろ批判はあるだろうが、競輪の面白さをここで垣間見れたような気がした。清嶋彰一恐るべき、である。

 最終10Rは地元濱田浩司(愛媛81)の登場。
 もうこれは楽勝で本命である。浜田から何点か買う。

 レース自体ももう浜田の快勝。1センター7番手からひと捲りである。で、直線で番手の菊地崇史(愛媛61)を、その後ろにいた自在戦法の田村浩章(徳島82)が交わしてゴール。「追込みでない選手が3番手を……」と書いていた通り、田村のヒモだけは買ってない……。
 翌日の優勝は田村だったそうな……。

 というわけで、今回も車券的にはかんばしくない遠征だったが、終わった後、松山市駅周辺のアーケード街を楽しみ、えひめみかんさんに、教えていただいたまんが喫茶で、ネットに接続。前日同様ジュースをがぶ飲みした(今回の旅で何10杯ジュースを飲んだことだろうか)。
 最後は、伊予鉄道のみかん色の市内電車に乗って街を一周。路面電車なのに、街なかを途中、単線の専用軌道で高速で車体を左右に揺すりながら通りぬける様は、ジェットコースターのようであった。

 午後10時過ぎ「ムーンライト四国」でそのまま大阪へ。


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