2004/8/14(土)
小倉F1 2日目

2004/08/13久留米編からの続き

翌日朝、お世話になった旅館「清香荘」を後にし、昨日と逆のルートをたどり、一家で門司港に向かう。
朝風呂が効いたようで体調も良い。ここは水が良いようで朝食のご飯も美味しくて3杯もお代わりした。

門司港は戦前、戦中を通じて九州の玄関口として栄えた港で、昭和38年までは関門連絡船の乗降客も大変多かったそうだ。
大正建築の駅舎自体が昭和63年に国の重要文化財に指定され、周りの赤レンガ建築と共に観光名所をとして再開発され、「門司港レトロ」として今、ブームになっている。前から行きたかった場所で本当に面白いところだ。子供と一緒に記念写真を撮って奥さんも楽しんでくれたようだ。

門司港から小倉駅までは一家で移動していたが、ここから奥さんを子供と共に大阪へ先に帰し、私は今日のメイン・小倉メディアドームへ向かう。
小倉駅のコンコースで帰りの「のぞみ」の切符を渡すと奥さんがとんでもないことを言い出した。

私「じゃあ、これで解散するから1人で子供を連れて新幹線に乗って帰って」
豚嫁「それはエエけど、アンタ、お金は大丈夫なん?」
私「大丈夫や。財布にまだ1万円入ってる。もう切符もあるし、十分や」
豚嫁「そんなんアンタが競輪に行って1万円で足りるわけないやん。いつも負けまくってるくせに。アホちゃうか」
私「(上島竜平のようにかぶっている帽子を地面に叩きつけ)お前、訴えるぞ!小倉はオレの得意バンクなんじゃ。知らんのか!? 」
豚嫁「あ〜分かった分かった。そしたら1000円だけ貸しとくわ。これでお弁当買うんやで」

という会話の後、奥さんはお弁当の売っている売店へ消えていった。
私はキオスクに置いてある出走表をもらい、打ちひしがれる思いで小倉駅バスターミナル6番乗り場へ向かった。
このホームページを現役競輪選手や関係者の方も見ていると思いますが、ファンはこんな思いまでして競輪場に駆けつけているんですよぉぉぉ〜〜〜〜。

6番乗り場で待っていると程なくバスはやってきた。ドアが開いた途端、周りのおっちゃん達がどんどん乗り込み、座席はすぐに埋まった。
発車後、出走表を色々読んでみる。なんとナイターF1なのに昨日の初日は1億強しか売れていなかった。九州もまだまだ不景気なんだな〜と思っているうちに次の「平和通り」という停留所に止まった。また10名ほど乗ってきて、車内はちょっとしたラッシュ時のような混雑ぶりだ。九州の競輪ファンは購入単価が低いのかもしれない。でもレジャーとしては良いことだろう。

そろそろ到着時間と言う時、左手に綺麗な芝生の広場が見え、その奥に行きの新幹線からも見えた銀色の大屋根が見えた。これがメディアドームか。バスが着いたので近くでもう一度見上げる。デカイ。まるで昨日始まったアテネのオリンピックスタジアムを想像させる。「競輪開催中」という垂れ幕が出ていなかったら、誰も競輪場だと思わないだろう。さすが競輪発祥の地だ。
1種類しかない専門誌「キング」を買うと、他の中年のファンのおばちゃんに「50部ぐらい買うたって〜」と冗談を言われた。あんまり売れてないようだ。売り子さん頑張れ。

4階までエスカレーターで上がり、100円を機械に入れて中に入り、手荷物を預けて中のロビーを歩く。ロビーに売店があり、中が観客席になっていて、構造は大阪ドームとほぼ同じ。
念願のドームの中に入ってみる。広い。たぶん競輪祭仕様で設計されているのだろう。お客の数は他所のF1と変わらないけど、広すぎる分、寂しい感じがしてしまう。空調も程よく効いているし、座席も結構ゆったりと据え付けられていて、かなり快適だ。BS上空に大画面のパナソニックビジョンがあって非常に見やすい。アーティストのライブも出来そうな感じだ。バンクは観客席から見下ろすようになっていて見やすいが、ちょっと岸和田や和歌山よりも距離を感じる。

おっ、9色のユニフォームを着た選手が出てきた。そろそろ1Rの脚見せだ。新聞によると高橋和聖(茨城87期)井上 大(福岡72期)の先行合戦。前々から捌く大井一宏(富山54期)の中部ラインは苦しいだろう。高橋と井上は力的に互角なのでケンとする。レースは高橋が先行して、番手の小倉久人(茨城41期)が差しただけ。3連単は741で4040円。いかにも小倉らしいレースだ。

次は2R・A級一般戦。今日の目的の半分は1番車、我らがデジセンマンこと出路仙一郎(滋賀56期)の応援だ。さっそく脚見せから「近江商人 出路仙一郎」の紙製横断幕を出して広げる。
今日も期待だが、なにせアウェーだけに位置が無く、浅野 徹(千葉85期)率いる関東ラインの3番手を回っている。ここは5番・木元敏郎(大分53期)の実質先行1車で番手の3番・菊地 優(福岡31期)が点数的に断然。追い込みの効かない小倉バンクでは出路は絶望的だ。せっかくの横断幕も効き目なしに終わりそうな予感。
車券は車単で3=5と比較的点数の持っている7番・小林 浩(山梨67期)の追込みへの3−7の3点。
ここで「どうも予想しにくいなぁ」と思ったら、「キング」は選手名と離れたところに競走得点が書いてある。これは不便なので各レースの選手名の横に点数を転記する。やっぱり読み慣れた「ダービー」が良いなぁと実感していると締め切りのベルが鳴った。

レースは打鐘から浅野が先行するが、木元が即カマして先行体勢。最終バックで小林が捲りに行くが、やはり小倉の2センターは捲りには厳しい。ハコ回りの菊地が先頭で小林が2着体勢のところへ大外から白い車が捲り追込み。出路である。小倉の短い直線で7番と車の先が揃ったところがゴール線だった。
おおお〜、小倉は直線の外は全然伸びないのに凄いね〜、371だけど大したもんだ。スケベ根性出して3連単の371も買っておけば良かったなぁ〜と思ったら、デジセンマンがクールダウンで前を通ってきた。私の後ろにいたお客さんが「出路、応援来てくれてるんやから、しっかり頑張らんかい!」と声をかけてくれた。ぺこりと頭を下げるデジセンマン。なんか良い雰囲気だ。そして3Rの選手が脚見せに出てきた時に写真判定が解けると着順は317(結果)。
ガビ〜ン!差し切りかよっ!
3連単で26220円の高配当。
横断幕出してても3−1は買えないなぁ・・・(T:T)。

デジセン・ショックを引きずったまま、3Rの分析に移る。ここは3分戦で3番・和泉克美(神奈川63期)の先行、1番・今西一之(埼玉77期)の捲り、2番・増本章行(兵庫72期)の前々からの番手勝負と性格はハッキリ出ている。しかし点数は増本がダントツ上位。難しい。
でも増本が和泉の南関東ラインに競りこめば、今西の捲り頃。番手の9番・佐藤篤司(東京52期)との折返しと和泉のラインの3番手に付けている7番・赤星忠明(熊本64期)が意外と捌いてくるので車単1=9、1−7を購入。

レースは予想通り今西が綺麗に捲って197で入線。車単は770円付いた(結果)。ふう、これでやっと自分のペースを取り戻せそうだ。

4RからはA級準決勝。ここはなんといっても9番・田村英輝(徳島78期)が登場する。ここ2期はA級に甘んじているが、いつかは四国待望の大型先行になるだろうという大器。私のメルマガ予想の読者ならお馴染みの徹底先行だ。対するのが5番・植松 仁(岐阜86期)。今は武田豊樹が有名になったが、実は冬季五輪のスケート種目のメダリストを日自振が引き抜いてきた元祖の選手。今は自在タイプでA級ながら存在感を発揮している。あと九州は6番・地元の89期新人・八尋英輔とS級落ちの3番・柴川高行(熊本60期)がいるが、柴川は単騎で前々勝負を選択。八尋は在校62位で初勝利は昨日の1R・予選(10戦目)なのだ。ある意味、当然の選択だろう。
ここは田村の先行で番手の2番・福元義和(高知71期)のところへ柴川が競りこみ、3連単で9=3から3着を流して大漁モードと行こう。

レースはやはり田村が打鐘から踏み上げ先行。そして内からスルスルと柴川が上がって福元へ番手競り。これが95点(柴川)VS83点(福元)で柴川が一発で勝つかと思いきや互角で相譲らぬまま、なんと2人揃ってツキバテ(自力選手の後ろで先にバテること)で・下がっていき、田村の1人旅に。
そこへサッと番手に飛びついたのが単騎の八尋君と植村の番手から切り替えた大阪の御大・7番の島岡兼治(49期)。967という急造西国ラインで直線へ向くと番手から八尋が飛び出し679でゴールイン。3連単はなんと66010円という超大穴で決着(結果)。場内は地元の新人君の鮮やかな捌きに大歓声でした。
今日の大本命レースがえらいことになったなぁ〜と思っていたら、地元選手が勝ったのでメディアドーム特製タオルの投げ入れがあるというので急いでスタンド前方へ行き、「これから頑張れよ〜タオルくれ〜」と大声を出していたら、八尋君の投げたタオルが私の顔の前へ。がっちりキャッチして見事タオルをゲットしてきました。せっかく新幹線代を出して来てるんだから、これくらいはサービスしてもらわないとね〜(へへ)。

次の5Rは細切れ戦。しかし7番のS級落ち・石井秀治(千葉86期)の先行力が断然。番手の3番・栗田弘一(群馬60期)ではつまらないのでヒモ穴で3点ほど流して購入。すると新聞のインタビュー欄では「自力、自在で」と書いてある5番・原野 裕(山口77期)が徹底して関東の3番手マークでそのまま流れ込み、3連単は735で740円(結果)。つまんね〜。
レース後良く見たら原野は純粋なマーク屋だった。ケッ、「本音と建前」か。新聞はよく読まないとダメですね。

そしてA級準決勝ラストの6R。ここは徹底先行の2番・南 修二(大阪88期)、やや格下だが先行の7番・米嶋賢二(長崎77期)、そして8番の89期13位の愛媛のルーキー・橋本 強君の3分戦。
昨日の久留米からの流れで南から買っても良いのだが、番手が1番・関谷俊彦(静岡58期)率いる関東勢。こういう場合、自力選手は先行より美味しい捲りで自分だけ「良いとこ取り」したがるものだ。新人君との力比較も難しいので、ここはケンとして、ロビーの売店でビールと牛丼を食べる。レース数をある程度こなしている割りにマイナス額が小さいせいか、牛丼はなかなか美味しい。西武園の牛丼は捲りきれる味だ。
何か騒々しいと思ったら、知らない演歌歌手がミニライブをしていた。「時輪ゆみ」だって。でも川中美幸の歌を歌うのは個人的に受け入れにくいが、おっちゃん連中の受けは良いみたいだ。

観客席に戻ってレースを見る。橋本君がSを取って米嶋が打鐘先行。南が最終バックで捲り切ってそのまま押し切り、3着には橋本君が追い込んで218は2330円(結果)。小倉らしい結果だ。

さて7RからはS級一般戦。そろそろ日頃の鍛錬の結果を出したいところだ。
実質先行1車の1番・藤川浩平(石川87期)、捲りでエレベーター(S級とA級を昇降している)の2番・中田謙二(沖縄73期)、単発捲りの5番・北沢育夫(神奈川74期)の3分戦。
「先行有利の小倉理論」なら藤川本命だが、まだまだS級で通用とは言い難い近走。北沢の捲りで通用しそうだ。番手の優参2回(優勝戦に勝ち残ったのが2回)の9番・山崎敦雄(静岡70期)を中心に9=5、9−2、そして山崎の後ろの3番・伊藤一貴(栃木72期)への9−3を購入。でも似たようなメンバーで前にA級でも走ってような気がする・・・。

レースは藤川が先行、北沢が捲りに行くがこれが不発、その番手から捲り追込みをかけた山崎が伊藤とその後ろにいた中田を引き連れてゴール。932で2370円。車単は1060円つけてくれた(結果)。
新幹線の時間も近づいてきた。そろそろ大きいのが欲しい。

8RもS級一般戦。
徹底先行の2番・高比良 豪(福岡84期)、8番・矢内良和(群馬75期)がいるが点数的には捲りの7番・藤井孝則(兵庫82期)ー1番・沢田光浩(福井63期)の近畿ラインが断然。
番組屋は絶対に小倉ドームの癖を知ってて、こういう難しい番組をわざと組んでいる。気をつけろ!(こういうギャグ流行ってますね)。
車券は3連複で1−7から2番高比良とその番手の5番・池田英樹(福岡76期)、8番矢内とその番手の瀧口和宏(東京72期)の4点流し。近畿の後ろの4番・広田久将(千葉83期)は不要と判断してみた。

レースは藤井がSを取って高比良が打鐘半ばから先行。待ってましたとばかりに藤井が引いて捲り発進。力通りに出切って「頂きぃ!」と思ったら、なんと池田が沢田を1発でどかして切り替え成功。754で直線に向いてグイと差してゴールイン。574は3連単で16万6990円の大ホームラン(結果)。
福岡S級にこんな強いマーク屋いたとは・・・それもA級から上がってきてすぐ・・・さすが競輪王国・福岡である。参った。

9RからはS級準決勝。しかし新幹線の時間の都合で自分にとっては最終レースだ。是非とも3連単で良い思いがしたい。
並びを見ると先行の2番・原 真司(岐阜86期)に9番・岩見 潤(三重71期)がガッチリマーク。対する西日本勢は捲りの7番・本田 博(宮崎67期)−1番・佐々木浩三(佐賀50期)ー8番・中村泰啓(山口62期)のライン。
新聞によると初日10Rで原は本田の捲りを封じて逃げ切っている。本田も馬鹿ではないので今日は打鐘から無理やり先行という手もある。その時は中部ラインの後ろの3番・須田雄一(栃木56期)の捌きが妖しい。それを言うなら完全単騎の4番・鈴木慎二(神奈川74期)も3着なら大穴・・・あ〜難しい!
ここは岩見のブロックに期待して3連単9=2−384、9−3−248と押さえの車単・1の頭で783への流しとする。3連単923だと9倍しかつかないけど、当てて帰れるだけマシか。

さぁ運命のレースの号砲が鳴って本田がS取り。原が中団の位置。赤板から徐々に踏み上げて本田に蓋をすると打鐘から先行。昨日の1着を彷彿とさせるカカリだ。そして最終バックから本田が捲り発進。昨日の雪辱に燃えているのか、これもカカっている。2センターで伸び切ろうとしたその瞬間、岩見がグイと本田をブロック!そして本田がイエローラインをオーバーするまでグググ〜〜っと押し上げる!おい、良いのか岩見!かなりヤバイぞ!そして返す刀で逃切りを図る原とタイヤの先が並んだところがゴール。3着には本田の5番手にいた鈴木が入ってる!

出来た!2=9−4!大穴だ!!

でも4コーナー審判が赤旗を挙げて審議。当然だろう。
新幹線の時間があるのでとりあえずロビーの払い戻し口の前に移動し、決定放送を待つ。
審判のアナウンスで「審議対象は2着入線の9番選手です」ときた。原が逃げ切りだ。2−9−4ならド高めだ。頭にガンガン血が上ってきた。周りのおっちゃんは「岩見は失格じゃ〜!」などと騒いでいるが、食らった本田は落車していないので「重大注意」で済むはずだ。また審判のアナウンス「9番選手は審議の結果、失格ではありません。決定1着・・・・」(結果
すかさず払い戻し窓口のおばちゃんに券を差し出す。おばちゃんの前のモニターに「18530円」の文字が浮かんだ。

まいったか、ウチの豚嫁!
毎日、予想メルマガを発行して鍛えたこの実力を!!

ちなみに「キング」の本誌予想も3連単的中だ。
さっさとお金を財布にしまい、預けていた荷物を受け取るとモノレールの駅に向かって歩き出す。おみやげの入ったカバンと旅行にでかける前より中身が増えている財布が重い。蒸し暑い小倉の夜をビールと万車券で血が上った頭で楽しむ。
モノレールの5分ほどの車内で、1度だけ優勝させてもらった競輪破壊王決定戦・ふるさとダービー松阪の時も、捲りで優勝した小嶋敬二の2着は岩見だったことを思い出した。

モノレールが小倉駅に着くと、新幹線の時間にはもう10分もない。またお腹がすいてきた。
新幹線の中で食べる夕食の駅弁は何があるんだろう・・・。


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