競輪マーク特別企画
和歌山決戦! サノウメvsトモキン 最終日
 
和歌山 第10レース
A級決勝
選手名 戦法
舛井   幹雄 捲差
池田   智毅 差捲
吉岡   啓史 捲差
荒木   勝成 差捲
島田   竜二 捲先
長野   和弘 捲先
佐野   梅一 先捲
本村   隆文 先行
貝賀  良太郎 捲差
並び V814 72 6359(協力(?) 電子競輪新聞
<カミガタの予想>
 さて、ここは私が4コーナーまでは佐野梅一の立場になって、レースを考えてみた。
 レースは実質4分戦。九州は最初は4人固まって走る。もし、同県の吉岡を連れて、長野が先行してすんなり4人続けば、九州の誰かが優勝する可能性が高くなる。特進に次場所リーチを賭けるためには、ここは絶対に落とせない。5番手から捲ってもいいが、島田が3番手にいることを考えれば、とても作戦としてはリスキーだ。
 そこで3番手を分断に行くことを考える。島田の外側で競ったらどうだろうと考えた。幸い、本村は後ろの舛井に番手捲りされることを恐れているので、強引には行こうとはしないだろう。で、島田に追いつかれないと思ったところで、一気に踏んで仕掛ける。
 しかし、これにも難点がある。長野が一気にペースを上げた場合、外で苦しい走りを強いられる。下手をすると島田に競り負けて最悪の結果も考えられる。
 なら長野を叩いて先行するのが一番手っ取り早い。3番手に長野が嵌るが、恐らく捲られないだろうし、島田or本村(たぶん島田)も目一杯踏めば捲られない。仮に捲りが来ても、併せて長野が外に踏めば、前に進まず横に動いて捲りの防波堤となってくれるであろうし、自分の後ろは池田さん。きっとブロックしてくれるに違いないし、2日間先着しているし、早く逃げても完勝だった。
 まず差されることはない、ということで、意外とサノウメは先行すると踏んだ。
 しかし、私はこの作戦に一つだけ誤算が生じると見た。池田さんは実は差せないのではなく、差さなかっただけだったのである。サノウメを油断させるため、死んだふりをしていたのである。それはもちろん、地元で優勝するため。
 前回5月では、和田信一に乗り、4角番手絶好。ところがハコ3。
 その雪辱に燃え、直前には何日もオーバーワークになるほど練習してきたのである。何としても優勝を、という気迫は、池田さんが全員の中で1番上であろう。さあ、その成果を出すときが来た! 頼むぞ!池田智毅! 
<買い目>
2−7一本! 
本日の池田さん
 ま、優勝してくれ! それだけですけど、サノウメが島田竜二を警戒してくれたら、チャンスはあると思います。もしサノウメが先行して、島田が来たら、すかさず「必殺トモキンブロック」を3コーナーでお見舞いしちゃってください。そして、差して優勝してね
<久保田靖氏の予想>
 いよいよ決勝戦だ。トモキンもサノウメも揃って乗ってきたが、なんと9人中純粋なマーク屋は1人だけである。そのうえ近畿ラインは最短の2人。どうなるんだろう?予想のしようがないほど大激戦だ。こうなったらサノウメの優勝だけを信じるのみだ 
<買い目> 
<勝ってみ、一発選手>
9 貝賀良太郎 
 S級経験もある相当の実力者。今回は、島田竜二の後ろだが、佐野梅一がいるため、島田も倒そうと思ったら相当早めに動かなければならない。そう考えなくても、このレース徹底先行が多く、もつれるとあれば、混戦に強く、切り替えるスピードのある貝賀の出番である。佐野が行けば、そちらへ切りかえる可能性もある。総流しで勝負してほしい。9−5 9−7 9−2を中心に、他地区へ総流しで。(カミガタ)
<結果>
1−4 2400円
舛井優勝、荒木2着。佐野7着、池田さんは8着……。佐野・池田さんは次は向日町Sシに上がりますが、ダメージなければ良いけど……

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<ラブリー! この選手>
9R 7番車 
植野 幸喜(兵庫47)  プロフィールなどはここ
 今年6月の関係者の近畿ゴルフ大会で、見事優勝したのがこの人。
 昔はS級にいたが、好きではなかった。何か他の兵庫のS級下位選手同様、勝負弱いのである。まあ、勝負弱いから下位にいるわけだが、この選手の場合なぜか真ん中の着順が多く、最後にはギリギリで踏みとどまっているということが多かった。
 当時は特に競りがうまいとか、逃げ屋をこ援護するとか特徴のある選手ではなく、なんかイヤな感じすら覚えた。
 やがて、 A級に落ちると最初は人気していたものの、やはり簡単には勝たせてもらえず、点数を90点台の前半へと落としていった。たまに、出ると「ああ、もう終わってるな」と思うことばかりであった。
 そんな私が目を覚まされたのが、昨年11/18の岸和田10R。このレースは現在のところ地元A級での最後の走りとなった原田隆(大阪77)が出ていた。番組屋の陰謀か、レースは原田の先行一車。当然原田の頭が断然人気。
 そんなレースで植野さんは、原田の番手。当然競りがある。徳島の斉藤哲也(66期)と、福岡の津村勝正(55期)の二人。津村さんはS級落ちで、競りは多用しないものの、このレースでは力は上位。一方斉藤選手は当時は、激しい競りと捲り気味の切れ味で好調だった選手。この翌日には、現S級の八日市屋浩之(三重79)の3番手に飛びつき、ズブズブド万シューになった立て役者なのだ。
 というわけでこの二人に植野さんは苦戦するだろうと思い、押さえの評価にした。
 レースは斉藤−津村でインから競り。誘導をギリギリまで使った原田がホーム先行。ピッチが上がり「植野さん終わった」と思った。ところが植野さん、2コーナーで強引に斉藤選手をインに詰めると、切り替えインを突いた津村さんをも封じ込め、番手を守りきったのだ。そして流れ込んでの2着。
 まさにそれは、今まで私が知ることがなかった、マーク屋の気迫だったのだ。それ以来、植野さんに私はとりこになった。
 確かに、自力選手は競輪の花形である。それは否定できない。しかし、その陰にはこういう地味ながらも、堅実に自分の仕事をし、時にスポットライトがあたったとき、光ることのできる選手も忘れてはならないと思うのである。
 彼の座右の銘は「無事是名馬」。「死ぬまで競輪選手で頑張ります」というメッセージを残している。
 競輪の人生は一瞬で決まるものではない。これからも、長く走りながら、ときどき私に感動と、少しばかりの配当を与えて欲しいものである。(カミガタ)