2001年7月22日(日)
和歌山競輪最終日

  前日、「ムーンライト四国」に乗って、松山から大阪へ帰ってきた。

 和歌山では前日池田さんが勝っている。ただし今日の決勝は4分戦で目標にする原田隆(大阪77)が、おそらく捲りだけに、ちょっとしんどいのではないか、という気もしたのだが……。

 行ってしまった……。しかもわざわざ枚方の自宅に帰っているのに、片道3時間かけて。

 和歌山は山登りのついでに行った6月以来。あの時は9Rから見て、決勝のみ買った。

 途中で『競輪研究』を買って、読む。もちろん中心は10Rの決勝だが、その他のレースや、前日の結果も読んでみると、気になることが。

 この日の9Rには河野克也(兵庫71)と、南部健次郎(和歌72)が同乗して、中川武志(奈良60)目標に勝機を掴むのだが、問題は並びである。
 前日の10R準決勝でも二人は同乗している。特選シードの池田さんを差し置いて(失礼)、池田さんの指定席であった(笑)、和歌山の準決勝10Rの地位を奪い取った南部だが(ま、実際には南部というより、近畿の期待の若手、原田を最終レースで売りたかったんでしょうけど)、いくら河野が特選スタートだからといって、近況の調子と地元バンク、という点から考えると、原田の番手は南部が回るべきだったと思う。
 前日の結果から目を離して、9Rの番組表を見てみる。河野の点数は93点。これだけなら1班は堅持できる点数だが、今期は平塚で失格を食らっていた。これを差し引くと、1班が危うい所まで追い詰められているのが分かる。
 となると、今日も南部が河野に前を譲るのでは……。ヨコも含めた安定性から見ても、今日こそは南部が前を回ってほしいのだが。
 もし、河野が前なら、中川の頭以外は買わないと心に誓った。

 もう一つ気になることがある。
 これは前日から気になっていたのだが決勝10R、浮き駒の中村久弥(福岡57)はどこを回るのか、ということである。
 心情的には複雑である。
 もし、近畿の3番手を回れば、原田が先行する可能性は高くなり、池田さんの優勝の目も少し出てくるが、中村個人のことを思うと、中部の3番手を回ったほうがいいのでは、とも思った。 中部は田中秀治(岐阜82)−長村達也(愛知57)のコンビだが、前日これまた10Rで、中部両者が先行。原田は3番手に嵌ったが捲りに行けず、長村を最後交わしただけで、田中の逃げ切りを許している。
 長村のようなタテタイプの選手が、ハコ3になるなんて前代未聞。これは決勝のことを考え、前を残す競走をしたのでは、と考えた。それなら、中村は長村と同期ということもあり、中部の後ろで直線勝負した方が、いい着が取れるのでは……。
 『研究』を見ると、中村のコメントは「近畿の後ろから」だった。

 そういうことを思いながら、競輪場につくと、すでにレースはB級決勝。
 私と同じ桃山学院大学出身の岡田篤(和歌79)が決勝に乗っている。だが、格から言えばちょっと苦しい。山下竜児(愛知81)宮園憲治(鹿児75)が叩き合ってくれれば、だが。私は逃げが嵌れば怖い宮園から。

 レースは宮園の先行。これは、と思ったものの、バックでは、後ろからの影が鋭く前を襲った。岡田君は中団で動けない。
 とっさに木戸口茂雄(福井63)が岡田君の番手から、山下の捲りに切り替えた。山下は宮園を軽く捲りきり、直線へ。
 木戸口の切れ味が山下を軽く捕らえてゴール。さすがのタテだった。筋違いだが、実力者同士の結果だった。岡田君も大外伸びて3着……。5−7は2140円

 ここで久保田靖さんと合流。写真の許可はすでにいただいてきた、ということで、スタンドをいくつか取った後、7Rはすっ飛ばして8Rへ。

 ここには、久保田さんご推薦の山本和宏(滋賀71)が登場。私も98年グランプリの裏の甲子園ヒラの決勝で本命にして取らせてもらったいい思い出がある。
 ・・・・・・「思い出」なのか・・・・・・。アレは。
 『競輪研究』の調子欄には「不振」と書かれていた。調子がそれほど良くない選手でも「普通」と書く『研究』には珍しい。
 それでも、久保田さんは山本“カズ”から勝負。私はラインの力とカズの横から考えると、捲りが決まってしまうと思い、玉木仁(三重69)家田剛資(愛知51)を中心に勝負。田村光昭(広島67)が人気だが、位置取りに不安があるので、押さえ程度に。

 レースが始まる。久保田さんは「カズ?!」と叫んでいた。
 その言葉通り、北浦が先行。中団に中部。田村は7番手に置かれた。あ、こりゃカズチャンスだな。田村が後方から捲りを打つが、「待ってました」かのように、玉木が合わせて捲る。必死に止めるカズ。
 インが完全に空く。その時、車体を内に向けていたのは、カズマークの井上直彦(兵庫69)、玉木マークの家田。この両者がカズのインから、直線で一気に突き抜けワンツー。さらに田村マークの松原秀史(岡山45)が中を伸び3着。カズは5着に終わった。

 そして注目の9Rの脚見せが始まる、やっぱり今日も河野が前回りだった。これで腹は決まった。別線勝負である。
 狙いは前日準決勝で池田さんにイン粘りしている永仮豊(宮崎71)。あれはビックリした。新聞のコメントで確かに「番手勝負」とは言っていたが、まさか本当に地元と競るとは。池田さんに一発で捌かれたが、動きと勝負に徹する走り方は光るものがある。基本的に自力屋だが、イン粘りや捲りもこなす自在性がある。この日は、徹底先行の丸林一孝(福岡81)に乗れる。
 丸林も2日間先行に徹していい動き。中川では捲りきれないはず……。永仮から流しで勝負。
 他に松阪、四日市といった地元では異常に強い杉野哲也(三重76)も乗っているが、近況の成績がどうも不振。ここは捲り狙いだが苦しいと見た。

 9Rが始まった。勝負どころの鐘を過ぎ、先行はやはり丸林。中団に杉野、近畿勢は完全に後方に置かれた。河野から買っていた久保田さんはともかく、私にとってはおあつらえ向きの展開だ。
 3コーナーで捲ってきた杉野を永仮がブロック。しかし永仮今日は脚色が苦しそうだ。もしかして、前が予想以上に掛かっているのかもしれない。
 そして4コーナー。永仮が差し込みに行くが車が伸びない。インが空く。そこを一瞬のうちに突っ込んだ影!
 何と、河野哲也だった……。最終バックで行ききれない中川を捨て、インが空くのを虎視眈々と待っていたのだ。
 河野は前の丸林を交わし、追走の南部まで連れ込む勢い……だったが丸林も素晴らしい粘りで河野−丸林−南部で決着。私にとってはビックリの結末である。この最終日がきっかけになったのか、以後河野は復調していった。
 これで3レース連続万車券。本日はとても荒れている。

 最終レースの脚見せが始まる。注目の中村の位置は、コメント通り近畿の後ろ。つまり原田−池田の近畿勢に中村、田中−長村の中部コンビ、四国の4人は松田孝志(愛媛55)井元秀典(香川70)斎藤仁(徳島83)山本剛(高知52)の2つに分かれた。
 先行はおそらく田中だろう。斎藤、松田は捲り屋だし、原田は初日池田さんを連れて先行して池田さんに頭を取らせている。準決勝の長村の走りは、もしかすると決勝を見据えたものだったのかもしれない。長村から行きたいが問題は2車。後ろに誰が嵌るかと考えると、一番可能性があるのが松田。真後ろから捲られたら、さすがの長村でもインにかぶる可能性がある。田中の先行で中村の切り替えを誘えれば、長村が松田を止められる可能性はあるが。
 というわけで、車券は長村と松田の両面作戦で。長村から田中、中村、原田、斎藤、山本へ。松田から井元、原田、長村、斎藤へ。……そして一応池田さんの応援車券として池田−原田を(笑)
 久保田さんは、やはり自身のホームバンクを練習地にしている原田から、数点買っていた。地元バンクが好きな人である。
 
 最終レースの号砲が鳴る。前を田中が取ってしまう。「こりゃまずい」と私は思った。
 やがて赤板で原田が前を押さえに上がっていく。スッと田中は下がった。これは「先行する気もあるのかな」と思ったら、鐘が鳴る頃にはスローペースに。
 そうこうしているうちに、下がり切った田中が一気に叩いてきた。池田さんが原田に3番手を確保させようとそこに続くが、原田は外の斎藤を気にしているようでなかなか嵌りに来ない。完全にインが空いたところを最終ホームで松田−井元がインを突いて3番手を確保。
 ここで一気に田中が加速。原田−池田−中村が松田−井元の後ろに結局嵌る。斎藤は結局動かず8番手に置かれた。
 2コーナーでは一本棒。私にとっておあつらえの展開だ。斎藤が後方から捲り上げてくるが、まだ原田は動かない。
 斎藤が捲り上げてくるのが見えたのか、前の松田が3コーナー手前で仕掛けた。おかげで斎藤は原田の横で一杯に。松田も原田の事が気になりすぎたのか、出足がそれほど良くない。真後ろからの捲りを止める長村。それを確認した原田がようやく仕掛ける。空いたインを中村が突く。
 直線は長村が完全に抜け出し優勝。2着は捲る松田、粘る田中で接戦かに見えたが、実は私たちが見ていた正面スタンドから見えにくい大外を原田が突っ込んでいたのだった。写真判定すらなく、すんなり確定。長村−原田の7−9はなかなかの高配当となった。ここまでノーホラだったが、結果的には大幅プラス。久保田さんは……やめておこう(苦笑)。……池田さんは6着だったけど、まあ良しとするか。

 帰りに昔和歌山に行った時に寄った和歌山市駅近くの定食屋に寄り、カレーと出し巻きを食べて帰った。名前は忘れたが、なかなかの低価格である。和歌山市駅の高島屋の北にある個人商店が集まった通りに入ってすぐの、すりガラスの引き戸の店である。おすすめ。

 というわけで小倉松山→和歌山とたどった今回の旅は終了。小倉、松山の分の負けがたたった形になったが、なかなか充実した旅だった


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